研究課題
今年度は2つの大きな進展があった。一つは有川等により開発製作された平面タイプ2次元シンチレータアレイを導入した。これを大阪大学産業科学研究所のLINACを用いて加速された電子をターゲットに照射することにより発生するガンマ中性を利用して2次元の中性子画像のテスト撮影に成功したことである。この実験では真空ポンプを被写体にしたところ、予測通り中性子の遮蔽効果の大きい低Z部分でくっきりした画像を観測することができた。もう一つは、安倍及び尾﨑によりLFEXレーザーのターゲット照射により発生するガンマ中性子を用いた実験である。被写体画像を2次元シンチレータアレイ「マンダラ」でとらえることができた。この実験においてγn中性子の発生場所が当初考えられていたターゲットチャンバーよりもターゲット自身から発生していることが明らかになった。また、ポリエチレンの遮蔽体の厚みを変えて実際のγ中性子がどの程度の厚みで目的に適うかを実験した。現在得られた結果を解析中である。この実験では同時に小型化を目指した平面型のシンチレータアレイも用いたがこれはうまくいかず今後の進展が期待される。いずれの検出器でも巨大なX線を飛行時間法を用い時間的に弁別して中性子画像を得ることができた。以上の結果はターゲットの面密度測定の可能性について指針を与えるものである。
3: やや遅れている
やや遅れ気味だがかなりの進展が見られた。当初計画した中性用イメージングプレートではLFEXの環境下ではX線ノイズの除去が非常に困難であることがわかった。このため2次元シンチレータアレイとマンダラを投入して飛行時間法を利用して弁別することができるようになり大きな進展が見られた。マンダラは現在オンオフモード(回路の制約で中性子が数個入ると検出器が反応しなくなる)であるため、これをアナログベースで信号処理することによりかなり精度の良い結果が期待できる。現在準備中であるが予算に制約があり全チャンネルを網羅するまでには至らない。これが進展の遅れの一つの原因である。また、遮蔽実験は当初この目的のための測定ポートが確保できる予定であったが、その前の実験シリーズが長引いたため、測定ポートに別の機器が取りついいたままで実施せざる得なかった。測定器は高Z物質であるため影響は限定的であると判断して行ったが実験精度は低下した。これも引き続き改善する必要がある。
(1)LFEXを用いたガンマ中性子をマンダラを用いて障害物のない状態で実験する(2)マンダラのアナログモードで正確な中性子量を測定する(3)並行して平面型2次元中性子計測イメージ検出器をLFEXに於いて試験する(4)ガンマ中性子の発生場所が当初考えられていたターゲットチャンバーよりもターゲット自身から発生していることが明らかになった。ターゲットの厚さは数100ミクロン程度であり、これによりターゲットとの古典的な反応でγn中性子がこれほど多量に出ることは考えにくい。γn中性子の発生機構を再考する必要がある。以上の結果をもとにLFEXを用いたγn中性子によりどの程度の面密度に対してイメージングが可能かを明確にする。
3月の実験では十分なポートが確保できなかったので、6月の実験に向けて資源を有効活用するため
アナログ回路の一部に充当予定
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Journal of Physics: Conference Series
巻: 688 ページ: 012083
http://iopscience.iop.org/article/10.1088/1742-6596/688/1/012083
巻: 688 ページ: 012004
http://iopscience.iop.org/article/10.1088/1742-6596/688/1/012004
巻: 0 ページ: 0