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2012 年度 実施状況報告書

ジャイロ運動論的シミュレーションによる非軸対称配位での異常輸送解析

研究課題

研究課題/領域番号 24561030
研究種目

基盤研究(C)

研究機関核融合科学研究所

研究代表者

渡邉 智彦  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30260053)

研究分担者 沼波 政倫  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (40397203)
田中 謙治  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50260047)
洲鎌 英雄  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (80202125)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード核融合 / シミュレーション / 乱流 / 輸送 / 高性能計算
研究概要

本研究課題では、大型ヘリカル型装置(LHD)に代表される非軸対称トーラス配位をもつ磁場閉じ込めプラズマにおける乱流輸送過程を定量的に解析し、トーラスプラズマにおける輸送の普遍的な理解に資することを目指して、ジャイロ運動論的シミュレーション研究を進めている。研究期間の初年度にあたる平成24年度においては、以下の成果をあげた。(1)多種イオン・電子を取り扱えるように、ジャイロ運動論的シミュレーション・コードをGKV+へと拡張した。(2)実験に対応した平衡磁場配位を対象としたシミュレーションを行うために、GKV+コードにおいてVMEC平衡と解析的な平衡解の両者を取り扱えるように改良を施した。(3)新しいコードを用いて、LHD磁場配位での解析を行い、捕捉電子による不安定化効果を検証した。
さらに上記に関連して、(4) LHD磁場配位での乱流とゾーナルフローとの非線形相互作用を解析し、ゾーナルフローを介した連鎖的なエントロピー伝達過程が存在することを確認した。(5) 平衡径電場による乱流輸送への影響を検証するため、flux tube bundleモデル用いた乱流輸送シミュレーションを行った。
今年度の研究成果により、大型ヘリカル型装置を主な対象とした非軸対称配位でのジャイロ運動論的シミュレーションの基盤整備が進展した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要にまとめたように、従来のジャイロ運動論的シミュレーション・コードを多種粒子系へと拡張し、ジャイロ運動論的電子とイオンの両者を含んだシミュレーションが可能となった。そこにLHD磁場計測データから再構成されたVMEC平衡を取り入れられるようにコードを整備し、これを用いてイオン温度勾配不安定性のシミュレーションを行った。電子の断熱的応答モデルを用いた従来の場合に比べて、捕捉電子により不安定性が強められる場合のあることが分かってきた。これらは、計画通りの進捗を示している。
一方、現在のコードでは、Runge-Kutta-Gill法によって時間積分を計算しているため、磁力線に平行方向の高速な電子運動や電子とイオンのジャイロ中心密度差に起因した振動モードによって、時間積分幅が制限されている。これを緩和するための基本的なアイディアの着想を得ているが、実際のコーディングと検証は平成25年度に持ち越されている。他方で、上述のエントロピー伝達過程の解析や、flux tube bundleモデルを用いたシミュレーションなどについては、事前の想定を上回る進捗を示している。全体としては、概ね計画通りに、研究課題が進展している。

今後の研究の推進方策

これまでに開発したコードを用いて、LHD実験配位におけるイオン温度勾配不安定性や捕捉電子モード不安定性の線形計算を実行して成長率を見積もる。あわせて、得られた固有関数を使った準線形輸送フラックスの評価や、他のジャイロ運動論的シミュレーション・コードとの比較検証を進める。この手法は不純物等を含む場合の解析にも適用することができるので、不純物ホールが形成される場合の不安定性の評価等にも有用である。一方、非線形計算を実行すれば、電子の断熱応答モデルを使ったこれまでのシミュレーションによって蓄積してきたデータとの比較を行うことも可能である。
さらに、より効率的なシミュレーションを実行するには、新たな時間積分法の適用が必要である。これには、semi-Lagrangian 法を部分的に適用する手法と、疎行列の解を求める方法の2種類が考えられる。これに静電場の陰解法を組み合わせることで、より大きな時間積分幅を用いることができると考えられる。
平成25年度は、線形解析のLHD実験への適用を進めるとともに、新解法の有効性を検証する。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度の研究費は、平成24年度と同様に、主として国内外での研究成果発表旅費、学会等参加費、などに充てる予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Gyrokinetic simulations of entropy transfer in high ion temperature LHD plasmas2013

    • 著者名/発表者名
      T.-H. Watanabe, H. Sugama, M. Nunami, K. Tanaka, and M. Nakata
    • 雑誌名

      Plasma Physics and Controlled Fusion

      巻: 55 ページ: 014017 1-6

    • DOI

      10.1088/0741-3335/55/1/014017

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Conservation of energy and momentum in nonrelativistic plasmas2013

    • 著者名/発表者名
      H. Sugama, T.-H. Watanabe, and M. Nunami
    • 雑誌名

      Physics of Plasmas

      巻: 20 ページ: 024503 1-4

    • DOI

      10.1063/1.4789869

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Relation among ITG Turbulence, Zonal Flows, and Transport in Helical Plasmas2013

    • 著者名/発表者名
      M. Nunami, T.-H. Watanabe, and H. Sugama
    • 雑誌名

      Plasma and Fusion Research

      巻: 8 ページ: 1203019 1-3

    • DOI

      10.1585/pfr.8.1203019

    • 査読あり
  • [雑誌論文] APTWG: 2nd Asia Pacific Transport Woking Group Meeting2013

    • 著者名/発表者名
      J. Q. Dong, Y. J. Shi, N. Tamura, H. Jhang, T.-H. Watanabe and X. T. Ding
    • 雑誌名

      Nuclear Fusion

      巻: 53 ページ: 027001 1-11

    • DOI

      10.1088/0029-5515/53/2/027001

  • [雑誌論文] 講座「核融合プラズマシミュレーションの技法 - 大規模並列計算環境の活用」 1. はじめに2013

    • 著者名/発表者名
      渡邉智彦
    • 雑誌名

      プラズマ・核融合学会誌

      巻: 89 ページ: 45-48

  • [雑誌論文] 講座「核融合プラズマシミュレーションの技法 - 大規模並列計算環境の活用」 4. Vlasovシミュレーションのコーディング技法2013

    • 著者名/発表者名
      渡邉智彦,井戸村泰宏
    • 雑誌名

      プラズマ・核融合学会誌

      巻: 89 ページ: 171-179

  • [雑誌論文] Gyrokinetic simulation studies for non-axisymmetric plasma confinement: turbulent transport and entropy transfer2012

    • 著者名/発表者名
      T.-H. Watanabe, H. Sugama, M. Nunami, and M. Nakata
    • 雑誌名

      Journal of Physics: Conference Series

      巻: 399 ページ: 012020 1-10

    • DOI

      10.1088/1742-6596/399/1/012020

    • 査読あり
  • [学会発表] ヘリカル系での巨視的径電場によるゾーナルフロー増幅と乱流輸送低減2013

    • 著者名/発表者名
      渡邉智彦, 洲鎌英雄, 沼波政倫
    • 学会等名
      日本物理学会第68回年次大会
    • 発表場所
      広島大学, 広島県東広島市
    • 年月日
      20130326-20130329
  • [学会発表] ヘリカル系プラズマにおけるゾーナルフローと乱流の多階層シミュレーション・モデル2012

    • 著者名/発表者名
      渡邉智彦, 洲鎌英雄, 沼波政倫
    • 学会等名
      プラズマ・核融合学会第29回年会
    • 発表場所
      クローバープラザ, 福岡県春日市
    • 年月日
      20121127-20121130
  • [学会発表] Flux tube bundle model for gyrokinetic simulations in helical systems2012

    • 著者名/発表者名
      T.-H. Watanabe, H. Sugama, and M. Nunami
    • 学会等名
      22nd International Toki Conference
    • 発表場所
      Ceratopia Toki, Toki, Japan
    • 年月日
      20121119-20121122
  • [学会発表] Turbulent spectra, transport, and ExB flows in helical plasmas2012

    • 著者名/発表者名
      T.-H. Watanabe, M. Nunami, H. Sugama, S. Satake, S. Matsuoka, A. Ishizawa, S. Maeyama, and K. Tanaka
    • 学会等名
      24th IAEA Fusion Energy Conference
    • 発表場所
      Hilton San Diego Bayfront Hotel, San Diego, USA
    • 年月日
      20121008-20121013
  • [学会発表] Kinetic Transport Simulation Studies for Non-Axisymmetric Plasma Confinement2012

    • 著者名/発表者名
      T.-H. Watanabe, H. Sugama, M. Nunami, and A. Ishizawa
    • 学会等名
      26th Summer School and International Symposium on the Physics of Ionized Gases
    • 発表場所
      Hotel Zrenjanin, Zrenjanin, Serbia
    • 年月日
      20120827-20120831
    • 招待講演
  • [学会発表] Overview on recent progress in 3D effects on transport2012

    • 著者名/発表者名
      T.-H. Watanabe
    • 学会等名
      2nd Asia Pacific Transport Working Group Meeting
    • 発表場所
      South West Institute of Physics, Chengdu, China
    • 年月日
      20120515-20120518
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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