研究課題/領域番号 |
24561031
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
井戸 毅 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50332185)
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研究分担者 |
清水 昭博 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (00390633)
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キーワード | プラズマ計測 / 電位計測 / 重イオンビームプローブ / イオンビーム検出器 |
研究概要 |
前年度製作した多チャンネル検出器の試験として、検出器上でビームを大きく掃引した際の特性を調べた結果、位置の情報は正しく得られるが、ビーム強度がビーム到達位置に依存することが明らかとなった。このことは、重イオンビームプローブによる密度揺動計測時に電位揺動が影響を及ぼすことを示しているため、改善が必要であることが明らかになった。 一方、上記と並行して進めていたシンチレータを用いたビーム検出試験では、入射ビーム量に対する線形性が確認でき、検出効率は現在用いているMCPを用いた検出器程度以上であることを示す初期的な結果が得られた。また、高速イオン励起帯状流に起因する密度揺動が検出できることも実機にて確認した。この結果をもとに、位置分解能が確認できる検出器の製作を進めた。次年度に試験を行う予定である。 プラズマ実験においては、前年度の実験でHIBPの計測可能な電位変動の大きさ(約7kV)を超えたため計測できなかった大振幅の高速イオン励起帯状流の計測を行うために、イオン源の整備を行った。今年度は、計測可能電位を大きくるするために、プローブに用いるイオン種を通常の金(Au)から銅(Cu)に変更した。これにより、大振幅の帯状流の計測に成功した。また、高速イオン励起帯状流とバルクイオンとの相互作用を調べるために、プラズマの2次元断面における電位揺動の計測を行った。現在その解析を進めているところである。得られた空間構造と上記の電位揺動振幅の計測結果を用いて、帯状流とバルクイオンの相互作用の定量的な検証を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検出器の開発に関しては、性能試験を行うために用いる予定であった加速器のトラブルにより性能試験が遅れた。また、その結果をもとに検出器の設計変更が必要となったため、開発が遅れ気味である。 プラズマ計測の面では、高速イオン励起帯状流や、実験条件が限られているが乱流の密度揺動成分が観測できるようになった点は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
検出器の製作は昨年度より既に開始しており、今年度の早い段階で完成させられる予定である。また、信号強度を上げるために、計画立案当初は検出器の開発に集中する予定であったが、それに加えてイオン源の高出力化も同時に進め、乱流計測精度の向上を目指す。 電場遷移実験に関しては、昨年度までの実験で、電場遷移はプラズマ境界近傍で顕著に起こることが分かってきている。この領域はドップラー反射計により、電場変化を検出できる可能性があるため、そのようなデータも含めた解析を進めることにより、電場遷移及びその乱流挙動に与える影響を調べる研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
検出器の試験設備の一つである加速器の不具合により、性能試験の開始が遅れた。そのため本年度は、試験の結果に基づく改良が設計までしか行えず、実際に作成するのは次年度となったため、これに相当する予算を次年度使用とした。 次年度使用とした予算は、当初の計画通り検出器製作のために使用する。
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