研究課題/領域番号 |
24561032
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
田中 将裕 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00435520)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 合成ゼオライト / マイクロ波加熱 / シングルモード共振器 / 熱重量分析 / トリチウム安全取り扱い / 核融合炉 |
研究概要 |
トリチウムの安全取り扱いでは、室内などに漏洩したトリチウムの迅速な回収処理が求められる。吸湿剤は吸着容量があり、破過する前に加熱による再生処理が必須である。本研究では、吸湿剤としてハニカム型ゼオライト吸湿剤を取り上げ、マイクロ波を用いた効率/迅速な加熱再生処理の適用を提案した。マイクロ波加熱法では、シングルモード加熱法を採用し、電場加熱(TE モード)と磁場加熱(TM モード)の加熱機構の違いに着目し、ゼオライト吸湿剤への影響、加熱特性を明らかにすることを目的とする。 平成24年度は、TE モードによるマイクロ波加熱研究を推進するため、マグネトロン発振器(周波数:2.46 GHz)と導波管から構成されるシングルモードマイクロ波加熱装置を製作した。この装置では、試料の重量測定にロードセル、温度測定に赤外放射温度計(3台)を使用した。評価試料には、これまでの研究で製作したハニカム型5Aゼオライト(長さ:5cm、外形:2cmの円筒状、セル密度:200CPSI)を用いた。ゼオライト混合割合は50%である。この試料を相対湿度80%の恒温槽に設置して、飽和状態まで水分を吸着させた。マイクロ波の吸収エネルギーは、電力計(入反射測定、カロリーメトリ―法で校正)から評価した。 結果として次の結論を得た。1. 使用した吸湿剤はマイクロ波エネルギーを吸収し、200度以上に加熱できた。2. マイクロ波エネルギーは、吸湿剤内の水分に直接吸収されることが示唆された。3. 脱湿後はマイクロ波エネルギーの吸収が低下し試料温度も低下することが確認された。4. マイクロ波加熱手法による試料の再生時間は10分程度であり、従来の伝熱手法と比較して約1/10まで短縮できた。5. 入力電力100W以上では試料の過熱が起こり吸湿剤が溶融した。100W以下の電力で十分な再生処理が可能であることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で用いる主たる実験装置として、必要な計測/調整機器(赤外放射温度計、ロードセル、マイクロ波電力測定およびデータ収集システム、スリースタブおよびショートプランジャー)を有するシングルモードマイクロ波加熱装置を製作した。この装置を用いて、平成24年度の研究目標としたハニカム型ゼオライト吸湿剤のTEモードによる加熱試験を開始でき、吸湿剤のマイクロ波加熱の可能性を示すとともに再生処理の基礎データを取得できた。また、得られた研究成果について、国際会議でポスター発表をした。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度には、TEモードを用いたマイクロ波加熱手法により、吸湿剤の再生処理の可能性が確認された。平成25年度は当初の予定通りTMモードによる吸湿剤のマイクロ波加熱試験に着手する。これまでの実験研究を通じて、製作したシングルモードマイクロ波加熱装置の一部(キャビティ部の形状改造および共振位置調整用スペーサー板の設置)を改造することで、TMモード加熱試験に対応可能であることがわかった。装置の改造を行なってTMモード加熱試験を推進する。また、実験手順を確立し、繰り返し照射試験による試料材料の劣化について検証を進める。一方で、シングルモードマイクロ波加熱装置では、マイクロ波と試料との共振(マッチング)を微調整することが重要であることも明らかとなった。実験結果の再現性を含めて、マイクロ波と試料とのマッチングを微調整するため、ショートプランジャーの制御性を高めることを目的に、ステッピングモータによる駆動システムを構築する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は0円ではないが、シングルモードマイクロ波加熱装置のアイソレータを購入するために前年度に使用している。反射波によるマイクロ波発振器の劣化が懸念されたため、年度末にアイソレータを購入した。
|