将来の核融合発電施設では、燃料として大量のトリチウムを取り扱う。トリチウム取扱では多重の閉じ込め壁により、外部への漏洩を低減する。防壁の破損や機器の故障などでトリチウムが作業室内に漏洩した場合は、迅速な回収処理が求められる。トリチウムの回収処理では、分子状や炭化水素状のトリチウムを貴金属触媒で水の化学形態に転換し、吸着剤で回収する手法が一般的である。吸着剤[吸湿剤]には吸着容量があるため、破過する前に加熱による再生処理が必要となる。本研究では、低圧力損失であるハニカム型ゼオライト吸湿剤を取り上げ、マイクロ波を用いた効率/迅速な加熱再生処理の適用を提案している。マイクロ波加熱法では、シングルモード加熱法を採用し、電場加熱(TE モード)と磁場加熱(TM モード)の加熱機構の違いに着目し、ゼオライト吸湿剤へのマイクロ波の影響、加熱特性を明らかにすることを目的とする。 前年度までの研究成果として、TMモード[磁場(誘導)加熱]よりも、TEモード[電場(誘電)加熱]による吸着水分の直接加様熱が有効であることが明らかとなった。その結果をもとに、平成26年度には、TEモードによるゼオライトへの繰り返しマイクロ波照射影響評価を検討した。評価試料には、昨年度と同に水分を吸着したハニカム型5Aゼオライトを用いた。マイクロ波の繰り返し照射操作では、試料中心部へマイクロ波エネルギーが集中する場合があり、評価試料の内部が溶融した。シングルモード共振装置では、マイクロ波共振の鋭さを示すQ値が大きく、マイクロ波照射で水分が脱湿した後に、ゼオライト試料へマイクロ波エネルギーが集中したためと考えられる。試料が溶融してしまうため、繰り返し照射後のゼオライトの吸湿特性評価まで至らなかった。
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