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2014 年度 実績報告書

イオンビームを用いた三次元構造を持つ機能性高分子シート作製に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24561042
研究機関神戸大学

研究代表者

谷池 晃  神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (50283916)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードイオンビーム / 放射線グラフト重合 / 導電性高分子
研究実績の概要

本研究課題では本学タンデム静電加速器を用いて,イオンビームグラフト重合法に関する以下の3つの項目に主眼を置いて研究を行った.
基板となる高密度ポリエチレンフィルムを高フルエンスで照射することで,グラフト重合されない領域が形成されることがわかった.高分子フィルム内部のラジカルを電子スピン共鳴装置で測定することで,この機構を解明した.この現象を応用することで,グラフト鎖導入の位置,特に深さを制御することができる.
本学加速器のマイクロイオンビームラインにターゲットをマイクロメートルオーダーで移動させることができる照射チェンバーの設置を行った.百マイクロメートル程度のイオンビームを用いてポリエチレン試料を移動させながら照射し,その後試料のグラフト重合を行った.百マイクロメータの太さの線領域にグラフト鎖が導入できた.このことから,イオンビームの照射位置を制御することによって,基板となる高分子シート内部の表面近傍に機能を持ったグラフト鎖をマイクロメートルオーダーで導入することが可能となった.
イオンビームグラフト重合法によってポリエチレン内部にポリアクリル酸のグラフト鎖を導入した.そのグラフト鎖部分には絶縁体であり導電性は無いが,水を添加するとゲル状態となり,電流が流れるようになったことを抵抗値測定で確かめた.1 mm間隔の抵抗値は数MΩであった.導電性高分子材料であるEDOTのグラフト重合を試みた.導電性は乏しいものの,ポリエチレン表面にグラフト重合を行うことができた.また,ポリカーボネート試料を銅イオンビームで照射し,導電性を持った部分を形成し,1 mm間隔の抵抗値が数百kΩであることを確認した.
以上のことから,機能を持ったグラフト鎖を基板高分子シート内部の任意の場所に3次元的に導入し,例えば,電気的な素子を作成するために応用することが可能なことがわかった.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] High fluence irradiation effect on the ion beam graft polymerization method2014

    • 著者名/発表者名
      A. Taniike, Y. Hirooka, N. Nakanishi, R. Nakamura, Y. Furuyama
    • 雑誌名

      Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B

      巻: 331 ページ: 191-195

    • DOI

      10.1016/j.nimb.2014.01.026

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] その場イオンビームグラフト重合のための高真空中へのモノマー導入実験2015

    • 著者名/発表者名
      日下柊吾,中西孝彰,谷池晃,古山雄一
    • 学会等名
      日本原子力学会
    • 発表場所
      茨城大学日立キャンパス(茨城県日立市)
    • 年月日
      2015-03-20 – 2015-03-22
  • [学会発表] Application of the ion beam graft polymerization method to the thin film diagnosis2014

    • 著者名/発表者名
      A. Taniike, Raito Nakamura, Syugo Kusaka, Yuya Hirooka, Noriaki Nakanishi, Y. Furuyama
    • 学会等名
      26th International conference on Nuclear Tracks in Solids
    • 発表場所
      Kobe University, Japan
    • 年月日
      2014-09-15 – 2014-09-19
  • [学会発表] グラフト領鎖域幅のイオンビーム径依存性に関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      中西孝彰,谷池晃,日下柊吾,古山雄一
    • 学会等名
      日本原子力学会
    • 発表場所
      京都大学吉田キャンパス(京都府京都市)
    • 年月日
      2014-09-08 – 2014-09-10

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公開日: 2016-06-01  

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