研究課題/領域番号 |
24561045
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
渡邉 雅之 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究員 (70354842)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ダイヤモンド / 吸着平衡 / 希土類元素 / レーザー分光 / 赤外分光 / 静電的相互作用 |
研究実績の概要 |
ダイヤモンド表面への希土類元素の吸着現象に関し、本年度は主に分光測定を中心に測定、解析を行い、吸着メカニズムの解明に努めた。 希土類元素イオンとダイヤモンド表面の吸着様態を調べるため、ICP-MS測定を行い、全希土類元素を基軸にとり、分配係数の関係を比較するランタノイドパターンとダイヤモンド表面への希土類元素イオンの吸着におけるpH依存性について調べた。吸着分配係数log Kdの値が一度増加し、減少する傾向が4つ現れることをtetrad effectと呼び、希土類元素が錯体を生成する際によく見られる傾向を観測した。 ゼータ電位測定でダイヤモンド表面の電位状態を調べたところ、ゼータ電位測定で出た粒子径の結果は、気体吸着法の150倍も大きい値が得られた。これは、溶液状態と固体状態ではダイヤモンドの凝集のしやすいことを示唆している。 FT-IR測定を行ったところ、各ダイヤモンドの赤外スペクトルとEuを吸着させた後のダイヤモンドのスペクトルを比較すると、新たなピークが存在していることがわかった。860 cm-1付近に現れた振動は末端HによるC-H変角振動、1100 cm-1付近にはC=Oのピーク、1300 cm-1と1600 cm-1には硝酸塩が存在する場合に観測されるピーク、3000 cm-1付近にはC-H伸縮振動、O-H伸縮振動がそれぞれ観測された。 本年度の成果により、ユウロピウムは外圏的錯体で単層吸着により吸着していることを明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までのところ、バッチ吸着実験による結果は、ほぼ取得済みといえる。結果の解析から酸素ドナーの関与と単層吸着を明らかにした。 この結果を基に、今年度は、紫外~赤外までの分光法を用いてその吸着状態を解明することができ、吸着実験の結果を勘案すると、かなり吸着のメカニズムを解明することができた。 本年度得られた結果は、次年度X線を用いた分光実験による結合レベルでの吸着挙動の解明につなげる大きな足掛かりとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、高エネ研のマシンタイムにより、XPS測定を中心に吸着の結合の解明を進め、吸着現象の全貌の解明を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、成果の公表先として適当な国際会議がなく、次年度により成果発表の効果の高い会議が集中していることを勘案して、国外出張を先に延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
国外の国際会議に発表を予定している。
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