研究課題/領域番号 |
24561046
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
青柳 登 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究員 (80446400)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ウラン錯体 / レーザー分光 / イオン液体 / 機能材料 |
研究概要 |
本年度は新たなアクチノイド化合物の創成にあたり必要な戦略を得るために,四価ウラン錯体に注目した.この化合物が水溶液中で発光するのがわかったのは2000年代に入ってからであり,研究の歴史は浅い.現在検討中の化合物は四価ウラン錯体を含有したイオン液体の合成であるが,この錯体の発光挙動について理解するために,ハロゲン化物を有機溶媒中に溶解したのち,発光スペクトルを観測した.その結果,302 nmの励起波長で,四価ウランは発光し,そのスペクトルは有機溶媒によって大きく異なることが明らかになった.エタノール中では発光が見られないものの,テトラヒドロフランやその誘導体,あるいは1,4-ジオキサン中ではピークを2ないし3もった,ブロードな発光スペクトルが得られた.この結果から,合成中のイオン液体も対称性をおとすことで,発光する可能性があると推測される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機ウラン結合に基づく新物質の合成ということで,イオン液体中のN原子とウランの結合を期待している.現在までに一連の化合物を作成したが,発光スペクトルの取得までには至っていない.しかしながら,同様のコンセプトのもとに,有機溶媒中における発光スペクトルの取得に成功している.本年度はこれを継続して進めていけば,目的の達成がなされると期待される.
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今後の研究の推進方策 |
新たなアクチノイドの化学の開拓に向け,実験計画は大きく2つの独立したテーマに分けられ,それぞれのテーマごとに目標物を合成し,分光実験する.1つ目は4価ウランを中心帰属にしたイオン液体の合成である.2つ目はハロゲン化物を有機溶媒中に溶解した時の発光スペクトルの観測である.いずれもウランの直接的な配位結合を基軸として分子骨格や組織形成をデザインすることを研究計画の柱とする.合成化学実験によってもたらされた一連の化合物は,熱物性や構造同定は基本的装置で行ない.イオン液晶のテクスチャーを加熱冷却ステージ上で偏光顕微鏡によって観察する.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年は本課題で研究開始から二年目に該当し,昨年からの実験成果が出始めている年である.秋には金沢で開催される第5回アジア太平洋放射化学シンポジウムに参加し,発表する.また,アクチノイドの国際会議やアメリカ化学会での発表を予定しており,旅費の比重が相対的に高くなる.実験に関わる研究費に関しては,レーザー分光装置の無冷媒クライオスタットを支持する架台やクリーンブースを構築する部品に大部分を割り当てることになる.
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