研究課題/領域番号 |
24561048
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
佐藤 隆博 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 研究副主幹 (10370404)
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キーワード | イオンマイクロビーム / リアルタイム / ビームモニタ / CCD / CMOS / シンチレータ |
研究概要 |
数100MeV級高エネルギーイオンマイクロビーム形成時のビームの強度は、数万個/秒~フェムトアンペア級である。このようなビーム強度は電流測定の下限以下かつ粒子測定の上限以上であるため、ビーム軌道の有効な計測手段が無かった。そこで本研究では、数10μmの空間分解能でビームの強度分布をリアルタイムに測定するイオンビームモニタを開発する。具体的には、ビーム照射によって高効率で発光する薄膜シンチレータを表面に直付けしたCCD (charge coupled device)センサ又はCMOS (complementary metal-oxidel-semiconductor)センサによってビーム強度を測定する。平成24年度に製作とα線源によるオフライン試験を行い、平成25年度にビームを用いたオンライン試験を実施、平成26年度にはビームモニタとして実際に使用する計画で開発を開始した。 平成25年度は、薄膜シンチレータとして厚さ500μmのユーロピウム活性化フッ化カルシウム(CaF2(Eu))を用いて作製したビームモニタの出力信号を、コンピュータに取り込みビーム強度をリアルタイム計測するシフトウェアの開発し、実際に3MeV-Hビーム及び260MeV-Neビームで大気中で照射するオンライン試験を計画通り行った。どちらのビームでもその強度を数100ミリ秒の間隔で取得し、リアルタイムにグラフ描画させることに成功した。また、真空中で3MeV-Hビームによる照射実験を行ったところ、真空中の安定動作にはセンサの信号処理を担う電子回路の放熱が不可欠であることが判明し、現在その検討を行っている。これらの成果の一部は国際学術誌NIMBで論文発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載したとおり、開発したビームモニタからの信号を取り込むソフトウェアを開発しリアルタイムでビーム強度や位置を検出することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
ビームモニタを真空中で安定動作させるために、信号処理回路の効率的な冷却法を開発する。その後、真空中にビームモニタを設置し、その信号からビーム軌道を制御するビームシフタをフィードバック制御し、微弱なビームの長時間安定を可能とするビームモニタとして完成させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初カスタムCCD又はCMOS素子を開発し、それを使用してビームモニタを製作する予定であったが、既成のCMOS製品で性能が基本性能を満たすものがあったため。ただし、既成製品は本研究の目的である真空中での使用に冷却が必要であるため、今後冷却システムを開発する必要がある。 真空中でCMOSの信号処理回路を効果的に冷却するための、ヒートロッド等を設計し、購入する。また、信号を処理しフィードバックするための回路の構築を行う。
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