研究課題/領域番号 |
24561057
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
今村 速夫 山口大学, 理工学研究科, 教授 (60136166)
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研究分担者 |
酒多 喜久 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (40211263)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 水素貯蔵材料 |
研究概要 |
(1) 水素貯蔵材としての窒化物系の材料合成法の検討と条件の最適化探索. 窒化物の合成法については、N2やNH3による窒化反応がよく知られている。しかし水素貯蔵に有効な窒化物は高表面積でナノ構造を有す試料で、このためには金属アミドを前駆体にした熱分解で得られることを見出した。この時の合成条件がナノ構造の成長と密接に関係しているため、その最適化とともにMg系, Ca系, 希土類系の窒化物についての材料探索を行った。窒化炭素では、メラミンの熱縮合の程度がトリアジン環骨格の広がりと三次元構造の成長に深く関わり、水素貯蔵に適した材料合成には最適化探索としてメラミンと活性炭を固相法で823-873 Kで熱分解して得られる試料について検討した。 (2) 窒化物の構造と水素貯蔵特性の関連を解明. 窒化物の組織・微細結晶や構造・界面構造をサーマル電界放出形走査電子顕微鏡や高分解能透過電子顕微鏡、X線回折などにより解析し検討した。また窒化物中での水素を特定するため水素吸蔵後の試料の熱放出スペクトルを測定したところ、Mg系では水素は主にN-H結合をの状態で存在していると予測されるのに対して、Ca系ではその割合が少なく水素として吸蔵されていることが示唆された。 (3) 水素吸蔵に関する特性評価. 真空系を備えた容量法装置また熱重量分析を用いて、水素吸蔵速度の水素圧依存性や温度変化による活性化エネルギーなどの動力学的パラメータ、また速度式を検討した。その結果、測定条件範囲内ではほぼ水素圧に一次出進行していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
水素貯蔵材料の特性評価が遅れ気味である。 特性評価では、特に吸蔵される水素の性質と吸蔵量が重要と思われるが、高圧水素での実験では、水素吸蔵後の試料の熱重量分析(TG)より貯蔵量を評価しているが、TG装置の調子が悪く修理の必要が生じたためその分遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
・窒化物中の吸蔵水素の解明 このような窒化物に吸蔵される水素には様々のタイプの水素種の存在が予想される。材料中の水素の状態や性質、また吸蔵水素の位置や結合状態に関する情報をえるため、FT-IRなどの分光学的手法を用いた検討のほかTDS, DSC測定等より、高容量化や水素放出過程の促進のための知見を得る。 ・水素吸放出特性の改善 窒化物Ca2Nの水素放出温度については、水素放出が373 K付近から見られるもののかなりの水素は473 K以上であるため、低温化には水素を活性化するための触媒を添加するなどして、材料系の速度論的特性を改善することで423 K以下での水素放出の達成を目指す。 ・水素貯蔵材としての窒化物系の材料合成法の検討と条件の最適化探索. 水素貯蔵材料としての新規な窒化物系の探索については前年度に引き続き検討を要すため、アルカリ土類系等をさらに調べる計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は約147万円である。その内の約27万円分は前年度の繰り越しで、これは試料測定のための機器利用費が無料となったため計上した24万円がそのまま余ったことによる。 使用計画としては、試薬・ガス類・実験器具類等の消耗品費に77万、学会参加のための旅費として50万円、さらに試料測定のための費用として20万円を予定している。
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