研究課題
水素エネルギーシステムの構築のためには水素の安価な製造法からエネルギー変換、貯蔵輸送、利用に至る一連の技術開発が課題となっている。その中で貯蔵輸送技術は水素が二次エネルギーのため必須で、軽量で高容量な貯蔵材料の開発が重要課題となっている。本研究では、カルシウムアミドの熱分解やメラミン等の加熱縮合などで合成される種々の窒化物の水素貯蔵材料への応用を目指して、主に以下の三点を本研究計画の主要コンセプトとして検討した。(1) 窒化物の合成法の検討と条件の最適化、および他の窒化物系への材料探索.(2) 窒化物構造と水素貯蔵特性との関連の解明.(3) 窒化物中の水素の熱力学及び動力学的性質の評価より、水素貯蔵材としての特性を解明.カルシウム窒化物や炭素窒化物系を利用した高容量で水素の吸放出特性に優れた水素貯蔵材料の開発を目的にするとともに、それに関連した窒化物の特性についての知見を広く得るため希土類系などについても探索検討した。カルシウムアミドの熱分解によって得られる高活性でナノ構造を有したカルシウム窒化物の水素吸蔵能を確認するとともに、水素貯蔵材料としての特性解明を目指した。5 wt%のNi金属微粒子とボールミルを用いたメカニカルグラインディング法でナノ複合化したNi/Ca2N試料の水素吸蔵量は、0.066MPaの水素化条件でH2/Ca2N=0.18に達した。また、TDSによる吸蔵水素の水素放出は373 K付近から始まることがわかった。メラミンや尿素、シアヌル酸を原料に合成された窒化炭素(g-C3N4)は、トリアジン骨格をもつグラファイトに類似した層状構造を有しているが、BET表面積が約9 m2/gと小さく水素吸蔵性も低かった。そこでさらに、原料の違いや合成条件によるg-C3N4の特性変化を期待して、高表面積担体上への分散担持や酸処理により高表面積化したナノ窒化炭素、また触媒的に活性な金属と複合化したg-C3N4などについても検討した。
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Int. J. Theo. Appl. Nanotech.,
巻: 3 ページ: 1-8
10.11159/ijtan.2015.001