研究課題/領域番号 |
24561058
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
天久 和正 琉球大学, 工学部, 助教 (40284955)
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研究分担者 |
鈴木 正己 琉球大学, 工学部, 教授 (30171250)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 流体工学 / 流体機械 / 数値流体力学 / 自然エネルギーの利用 / 風力エネルギー / 風力発電 |
研究概要 |
風車を運転制御するには,風速情報が非常に重要な要素だが,時々刻々変化する風車周辺の風速分布を計測することは困難である.そこで,風車性能を解析し,周辺の風速データを収集しながら,局所域の風況を予測するシステムを構築することを試みる. 数値流体計算(CFD)により風車性能を直接的に解析するには計算負荷が大きく計算時間がかかることから,簡易的な手法である翼素運動量理論(BEM)による解析精度を把握しながら性能予測を行い,解析方法の改善につなげる. CFDコードを用いて2次元翼型性能を求め,その結果をBEMの計算コードに用いて直径2.4mの水平軸風車について性能解析を行った.まず,風車ブレードに採用されている4つの翼型,先端からNACA63-215,NACA63-618,DU93-W-210,DU91-W2-250について,CFDコードで性能予測を行い揚力係数および抗力係数を実験結果と比較し精度を検証した.次に,得られた広い迎角範囲の翼型性能データを用いて,BEMコードで風車性能を計算した.風車性能の計算結果と風洞実験結果を比較したところ,低回転数で翼失速域における小さい周速比域では,計算結果は実験結果よりも大きな出力係数であったが,迎角が小さくはく離が起こらない大きい周速比域では,最大出力係数でよい一致がみられた. また,台風襲来の多い沖縄県久米島にて実証試験を行っている100kW風車を対象として研究を進めた.実証試験風車の性能予測として,まず,翼型性能データを元に各運転時におけるブレード上の流入速度分布や作用力分布などを調べた.風況解析では,島内2か所の気象観測所3年間について,風速・風向頻度分布,突風率などと台風襲来時の様子を調べた.さらに,実証試験場の夏季と冬季について,ナセル上の風速データを用いながら風車発電特性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CFDによる2次元翼型性能計算と組み合せたBEMによる風車性能計算を行い,予測精度を検証した.ただし,当初予定していた3kW試作機が台風被害を受けたこと,また,沖縄県島しょ環境における風力発電の普及を考え,解析対象を3kW風車から100kW風車に変更した.ちなみに,100kW風車は上述した風洞実験の風車ブレードと翼型が同じであり,また,設置場所が海岸付近なので風向によっては乱流強度の小さい良好な風を受けている. 風車が実証試験を行っている久米島について,2か所の気象観測データを用いて風況特性を詳しく調べた.さらに,風車発電量と長期的風況特性(夏季と冬季の時間変化特性)の関係が得られながら,実証試験中の風車性能結果を示した. また,2次元計算コードの改善やBEM計算コードの構築に時間を要し,3次元計算コードの開発に多少遅れをきたしている.
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今後の研究の推進方策 |
実証機は耐風速80m/sであり日本型風車として開発されたものである.実証試験場は台風襲来地域であるが,これまで風車は台風接近時に運転を停止して待機(フェザリング)しているので大きな被害を受けていない.しかし,実証試験場は季節によって突風率が変化し,特に冬季は低くなるものの運転風速領域の一部で高い突風率がみられたので,十分注意が必要と考える.この原因を調べる1つの方法として,地形情報を用いた風況予測を行う. 簡易的な風車性能予測方法の精度を高めるために,CFDを用いて種々条件の翼型性能計算を行い,風車運転状況で変化するレイノルズ数やはく離の影響などを詳しく調べる. また,風況解析について,これまで2か所の気象観測所について風速,風向の相関を調べ知見が得れらた.今後,同様な手法で実証試験場について解析を進めながら,地形情報を用いたCFD解析を行いつつ,実証試験場の局所風況予測を構築することを試みる.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者は水平軸風車性能計算用CFDコードを独自開発しており,CFDに関する専門的な技術および知識を有している.専用コードの開発では計算速度や精度の改善を試みることはできるが,一方で計算対象や条件の変更には十分な注意と多くの時間が必要となる.そこで,汎用CFDコード(130万円)の購入を計画し,独自開発コードと汎用コードの計算結果および実証試験結果との比較検証を行いつつ,専用CFDコードの改良につなげる.また,研究成果の公表や資料収集調査としての旅費や論文投稿料および数値計算関連の周辺機器の購入に充当する.
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