研究課題/領域番号 |
24561058
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
天久 和正 琉球大学, 工学部, 准教授 (40284955)
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研究分担者 |
鈴木 正己 琉球大学, 工学部, 教授 (30171250)
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キーワード | 流体工学 / 流体機械 / 数値流体力学 / 自然エネルギーの利用 / 風力エネルギー / 風力発電 |
研究概要 |
昨年度から引き続き,計算負荷の小さい翼素運動量理論(BEM)コードを用いた風車性能予測を行った.BEM風車性能予測を行うために,開発した数値流体計算(CFD)コードを用いて2次元翼型性能データを構築している.昨年度は予測精度を把握することに主眼をおき,直径2.4mの水平軸風車を対象として計算結果と風洞実験結果を比較した(雑誌論文1).今年度は,同じ翼型を用いて沖縄県久米島で実証試験を行っている直径20mの100kW風車を対象とし,同様な計算方法で性能予測を行った(雑誌論文2,学会発表1).また,市販CFDコードFluentを用いて2次元翼型性能を計算することも行い,風車空気力学プロジェクトMEXICOの風洞実験風車を対象として,予測方法の時間短縮化を含めてモデル等の検証を行った. さらに,3次元CFDコードの開発を行い,水平軸風車まわりの流れを計算した.3次元計算コードは,BEMコードを用いず直接的に風車まわりの流れを計算するので計算負荷は大きくなるものの,予測精度の向上や流れ場の様子を詳しく考察することが可能となる.計算結果と風洞実験と比較しながら両者の精度を考察しつつ,CFDの実用性を検証した(雑誌論文3,学会発表2~4). また,風況予測においては,風車まわりの状況を把握するために,汎用数値計算コードOpenFOAMを用いて地形を含んだ解析を行った.計算精度を把握するために,まず急峻な丘の風洞実験を対象に計算を行い検証し,その後,風車設置場所周辺の計算を試みた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
市販CFDコードFluentでは定常計算にて負荷軽減と時間短縮を図りながらモデルを評価し,BEMコードによる風車性能の実用性を確認した.また,開発CFDコードでは,2枚翼および3枚翼風車について3次元定常計算を行い,回転力(トルク)とスラストに関する実験および計算の精度について考察した. 沖縄県久米島で実証試験を行っている100kW風車について,BEMコードによる風車性能予測と汎用コードOpenFOAMによる地形を考慮した風況予測を行っているが,局所風況予測に関する十分な成果がまだ得られていない.
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今後の研究の推進方策 |
開発CFDコードでは,3次元計算にてモデルおよび計算精度の検証を進め,実用性を高める.また,簡易的な風車性能予測方法(BEMコード)の精度を高めるために,種々条件の翼型性能計算と風洞実験可能な小形風車の性能予測を検討する.さらに,洋上風車のモデルにBEMコードを導入し,洋上風車に関する性能予測を試みる. また,地形データを考慮した実証試験場の局所風況予測の構築方法を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
離島用風車として開発されている100kW機を研究対象とし,風車設置場所に関する風況予測を行っている.そこで,複雑地形データを用いた風況予測専用コードを検討したが,本研究では風車周辺の局所予測を想定し,まずは汎用コードOpenFOAMを用いた風況予測の研究を始めた.研究が進めば,風車性能予測の開発コードと組み合わせた応用が図れる. 開発コードを改良する際,格子生成を含んだ計算対象や条件の変更に十分な注意と多くの時間が必要となるので,市販コードを導入,利用しながら研究を進める予定である.また,計算負荷が多大になりつつあるので,計算性能向上に必要な物品の購入を計画する.研究成果の公表や資料収集調査としての旅費,論文投稿料に充当する.
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