研究課題/領域番号 |
24561060
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
李 朝陽 高知工科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50461380)
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研究分担者 |
川原村 敏幸 高知工科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (00512021)
古田 寛 高知工科大学, 工学部, 准教授 (10389207)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノ構造体 / 酸化亜鉛 / 色素増感太陽電池 |
研究概要 |
色素増感型薄膜太陽電池(DSC)の高効率化及び低コスト化を行うため、光電極と対抗電極の開発を行っている。 ① 光電極では、色素容量を増やすため、特殊なナノ構造体を有する酸化亜鉛(ZnO)透明導電膜の開発を行っている。本年度、マルチ雰囲気熱処理プロセスを開発し、酸化亜鉛ナノ構造体の配向性を制御する技術の開発に成功した。これまでナノ構造体を形成するとその構造のため光透過率が悪化すると言う問題点があったが、配向性を揃えることが出来る様になったので、光透過率に関する問題点が解消した。 ② また、光電極の導電性を向上させるため、より導電性の高い酸化インジウム錫(ITO)薄膜を下地として、その上に酸化亜鉛ナノ構造体の作製を試みた。同時に、上記配向性制御技術を適用し、導電性と透過率のある光電極の作製に成功した。 ③ 対抗電極として、フレキシブル応用かつ低価格を目的として、カーボンナノチューブ(CNT)の導電膜(不敷布)が適しているのではないかと発案した。そこで、大面積に亘り均質なCNT不敷布を形成する為の技術開発を行った。溶媒中に分散させたCNTを、本研究所で開発している超音波噴霧技術を用いて霧化させ、特殊な整流器に導入させることにより、均質なCNT不敷布の形成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
色素増感型薄膜太陽電池(DSC)の高効率化及び低コスト化の為の光電極と対抗電極の開発は、当初の計画通りにほぼ完遂している。 光電極に関しては、本計画を実施する前より酸化亜鉛ナノ構造体の作製には成功していたが、本年度はその技術を元に開発を進め、ナノ構造体の配向の制御に成功した。ただし、酸化亜鉛ナノ構造体のサイズ及び形の制御を行う必要性がある。また、ナノ構造体の形成メカニズムに関しても実験結果等から判明しつつある。 また、CNT不敷布の大面積に亘り均質な薄膜の形成技術は、従来より開発していたミスト法の技術を利用できたため、当初計画していたよりも速く完成した。 順次計画通り進行しているため、現在は、太陽電池を評価するためのシステムの構築を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1) 酸化亜鉛(ZnO)薄膜及びナノ構造体の形成制御。色素の吸着量を増大させる為にナノ構造体の形状、直径等を制御するための技術開発を進める。また、耐食性を向上させる為にTiO2等をナノ構造体にコーティングする技術開発を行う。これらはミスト法等を中心に行う予定である。ミスト法によるナノ構造体へのコーティングは確認済みでありナノ構造体を均一に太らせることに成功している。また、ミスト法でサイズの整った微粒子の生成も可能である。 2) カーボンナノチューブ(CNT)を用いた導電膜(不敷布)の開発。初年度に引き続き、カーボンナノチューブ(CNT)の制御に関する開発を進め、サイズ、層数、配向率などの形成技術を向上させる。 3) 色素の吸着と電解液の最適化。色素及び電解液の選定を行う。色素は赤外或いは可視域に広帯域で強い吸収を持つものを選定する。当初ナノ構造体を有する酸化亜鉛(ZnO)透明導電膜と吸着量について評価する。 4) 光電極、対向電極、色素、電解液の評価。色素増感型太陽電池(DSC)の形成の為、光電極と色素、対向電極と電解液の相性について評価する。 5) 色素増感型太陽電池(DSC)の形成と評価。上記技術開発や評価によって得られた、光電極と対向電極を用いて色素増感型太陽電池(DSC)を形成し評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、太陽電池を評価するためのシステムを構築するために必要な消耗品購入費が必要である。また、ガラス基板やガス、化学薬品、色素などの実験消耗品を購入するための費用が必要である。その他には、学会参加費や、論文出版費が必要である。
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