研究課題/領域番号 |
24561062
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
天野 嘉春 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60267474)
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研究分担者 |
伊東 弘一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30029293)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 数理工学 / 最適化 / 再生可能エネルギー / スマートグリッド / コージェネレーション / ヒートポンプ / 蓄電池 |
研究概要 |
本研究では,病院やオフィス等の業務用建物や一般家庭におけるエネルギー供給システムを対象として,各種代替システムの経済性・省エネルギー性・環境性の総合的比較評価を,最適化手法に基づいて実施する.初期システム導入計画問題のみならず,長期的なシステム更新計画についても検討する. (1)最適貢献計画問題における各種不確定要因の整理では,決定論モデルで構築したスーパーストラクチャによるシステム記述を踏襲したフレームワークにおいて,各機器毎に不確定要因を抽出,整理し,試算した.その結果,蓄電池,太陽光発電装置の劣化特性の影響が大きいことを確認した. (2)既存エネルギーシステムにおける年間にわたるエネルギー需要量の想定では,新たに,日本建築学会が収集・整理した日本の住宅におけるエネルギー消費データを入手した.(1)のフレームワークに適用可能かどうか判定し,可能な範囲についてのデータ変換を完了した.また,家庭用エネルギー需要データの時系列特性と燃料電池コージェネレーションシステムおよびヒートポンプシステムとの整合性を,KL情報量によるクラスタリングによって分類する手法を,初めて明らかにした. (3)機器劣化性能値の整理では,特に,太陽光発電パネルー蓄電池系を対象として,蓄電池の劣化特性をどのように最適化モデルに反映すべきかについて重点的に取り組んだ.サイクル劣化特性と放電深度に係わるサイクル劣化特性とを組み込んだ試算を行った.2013年度に日本機械学会にて成果報告する. (4)太陽光発電パネルー蓄電池系の試験装置の設置では,やや予算をオーバーし,かつ,メーカー製造遅れのため,設置が遅くなったが,計測系の動作確認も含めて,初期調整を終了した.2013年3月からデータ計測を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試験装置の設置時期が当初の予定よりも,6ヶ月遅れた.これは,これは当初予定した供試蓄電池から新製品に急遽切り替えたためであり,かつ,メーカー側製造が計画通り進まなかったため納期が大幅に遅延したためである.計装系を先行して手配,調整することで,なんとか年度内に試験装置全体の設置,調整を完了した. それ以外の項目については,おおむね当初の計画通り進捗した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の計画は以下の通り. (1)試験装置による太陽光計測データの収集,解析を中心に進める. (2)決定論的スーパーストラクチャモデルを元に,各種不確定性の影響を解析調査する.また,確率計画問題としての取り扱いを可能とする方法論を検討し,その具体的な最適解導出方法について検討を進める. 特に,最適更新計画問題における再生可能エネルギーシステム特有の問題点を明らかにすべく,収集した機器特性を忠実にモデルに組み込むことを目指す, なお,本年度中に昨年度の成果を元に,学会発表(国内1件確定),学会論文(ジャーナル)投稿を進めていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通り試験データ収集などの研究補助および,成果報告などを中心に研究費を充て,特に設備費などの用途は見込んでいない. 国内学会出張旅費,国内打合せ旅費・経費,消耗品が主な使途である.
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