研究課題/領域番号 |
24570004
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
田中 秀逸 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90202431)
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キーワード | 遺伝子ターゲッティング / 植物 / バイオテクノロジー / 育種学 |
研究概要 |
本課題の目的は、我々が2010年に報告した「植物細胞における遺伝子ターゲッティング法」に関した非相同末端結合能欠損株を用いた高効率技術について、さらにデータを蓄積すること、今回の新技術の他の植物への汎用性を目指すためにRNAiによるKU70タンパク質の合成抑制によっても効果が得られるかどうか検討すること、T-DNA利用を併用するときの効率はどうかについて検討すること、植物体の再生も行い生育に異常がないか明らかにすることである。 a.遺伝子ターゲッティングされた株の蓄積に関して:ターゲッティングにより、「遺伝子破壊」ではなく、「発現する蛋白質へのタグ付け」を行い、本技術の遺伝子機能解析への有用性を示すことにした(昨年度報告済み)。AGAMOUS遺伝子にGFPのタグが付くとともにHyg耐性で選択できる様にするための遺伝子導入用コンストラクトが作製できた。KU70遺伝子に付いても同様のコンストラクトを作製中である。 b.RNAiによりKU70量を抑制した野生型細胞を用いたターゲッティング実験に関して:昨年度完成したコンストラクトを用いて、野生型株から得られたカルス細胞にKU70遺伝子の最上流コード領域に対してRNAi用mRNAを発現させることを試みた。現在のところ目的のカルス細胞は得られていない。導入実験を繰り返す一方、コンストラクトの塩基配列を確かめている。 c.T-DNAによる高効率な細胞内への遺伝子導入法の共用について:T-DNAを用いた方法は非相同末端結合に非依存的にも起こると報告されているが、実用化においては最もターゲット効率が良いことが重要であることから組み合わせた実験も重要と考える。ただ、現在のところa、bの実験を優先して進めている。 一方、カルスからの植物体への再生について培養条件の確認を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験の実行担当として、本研究を専門に行う学部4年学生1名を当てて進めた。まだ植物細胞の培養や分子生物学的な実験技術に習熟していなかったことも有り、残念ながら思ったほどの進展がはかれなかった。実験者は修士課程に進学したので引き続き実験をすることができる。実験を行う設備は整っており、最終年度は成果を期待できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度も実験実行者は院生1名で進めてもらう状況である。実験に成れたことも有り、最終年度内には当初目標の成果を得られるよう、真摯に取り組みたい。 a.遺伝子ターゲッティングされた株の蓄積に関して:作製できたAGAMOUS遺伝子にGFPのタグが付くとともにHyg耐性で選択できる様にするための遺伝子導入用コンストラクトを用いて、遺伝子導入実験を行う。ターゲッティング効率を明らかにするとともに、Hyg耐性カルスでのGFPの発現を調べる。KU70遺伝子に付いても同様のコンストラクトを作製し、AGAMOUSの場合と比較する。 b.RNAiによりKU70量を抑制した野生型細胞を用いたターゲッティング実験に関して:導入実験を繰り返し、目的のカルス細胞を得る。その細胞に対して、すでにあるAGAMOUS遺伝子破壊用コンストラクトの導入実験を行い、ターゲッティング効率を調べる。 c.T-DNAによる高効率な細胞内への遺伝子導入法の共用について:T-DNAに関してはa、bの実験の進捗状況を見て、同学科でT-DNA使用に習熟した教員いるので、協力を仰ぐことも考える。 また、得られた遺伝子組換えカルスから植物体を再生させ、正常に生育するか調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画的に予算消費を進めてきたが、端数として1,172円が残った。残金は、より有効に使用するために最終年度に繰り越して使用することとした。 1,172円は、最終年度の物品費の一部に加え使用する予定である。
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