研究課題/領域番号 |
24570008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
阿保 達彦 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (90303601)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リボソームレスキュー / ArfA / ArfB / 翻訳終結 / 大腸菌 / RF2 |
研究概要 |
我々のグループが同定したリボソーム解放因子ArfA,ArfBを,大腸菌S30抽出液中で形成,単離したnon-productive complex(NPC)に作用させると,ArfBはそれ自体でリボソームの立ち往生を解消するのに対し,ArfAは単独では解消出来ないことから,ArfAによるリボソーム解放には何らかの細胞性因子が必要とされることが予想された。そこで,知られている翻訳因子(開始因子,伸長因子,終結因子,tRNAなど)およびそのホモログを精製し,単離したNPCに精製したArfAと共に加え,NPCが解消されるかどうか調べた。NPCの解消は,Bis-Tris中性アクリルアミドゲル電気泳動で検出されるペプチジルtRNAの消失を指標に確認した。その結果,ArfAによるリボソーム解放にはクラスI翻訳終結因子の一つであるRF2が必要であることを見出した。RF2によるペプチジルtRNA加水分解に必須とされるGGQモチーフを破壊するとリボソームは解放されなかった。一方,終止コドンの認識部位を改変してもリボソームは解放された。このことから本来終止コドンUAG,UAAを認識して翻訳を終結させるRF2が,ArfA存在下でNPCに作用すると終止コドン非依存的にペプチジルtRNAを加水分解し,翻訳を終結させることが判明した。また,この反応はtRNA存在下で亢進した。 以上の結果より,ArfAはRF2をNPCにリクルートし作用させることで立ち往生したリボソームを解放することが明らかとなった。これで,これまでに報告のあるリボソーム解放機構,翻訳終結機構は全てGGQモチーフを必要とすることとなり,翻訳終結反応一般におけるGGQモチーフの重要性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ArfAによるリボソーム解放に必要な因子としてRF2を同定出来たことは当初の計画を上回る成果である。一方,同時に進行予定だった変異導入や遺伝学的アプローチによるArfAの機能解析は充分な成果を得られておらず,総合すると「おおむね順調に進展している」と評価出来る。
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今後の研究の推進方策 |
アミノ酸置換変異を導入した際のArfAの機能を詳細に解析し,また遺伝学アプローチを駆使してArfAの機能を解明することに注力する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の購入,研究打合せや成果発表等のための旅費に支出する予定であるが,使用している機器の中には更新時期が来ているものもあるため,必要であれば随時更新することも考慮している。
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