研究課題/領域番号 |
24570012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野田 隆史 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (90240639)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地震 / 岩礁 / 潮間帯 / 生物群集 / 撹乱 / 動態 / 三陸 / 海洋 |
研究概要 |
【研究目的】地震直前の9年間に群集動態、遷移過程および各種の加入量が継続調査された複数の岩礁海岸において、地震後に同一地点で同一の調査を行う。得られた地震前後のデータとあわせて解析することで、①地震による岩礁潮間帯生物群集の変化とその後の回復過程、②地震による加入過程の変化、③地震後の小規模撹乱後からの回復過程の変化を明らかにする。 【24年度の研究内容と成果】調査は三陸沿岸の大槌湾、山田湾、船越湾に存在する5海岸のほぼ垂直な25岩礁に3種類の調査区(対照区と加入区と遷移区)を作成して行った。5月には、対照区において移動性の底生動物の種別の個体数、固着生物の種別の被度及び存否を測定した。また、調査区全体を写真撮影し、撹乱パッチの形成の確認を行った。また、加入区(人工裸地)を作成した。7月には、対照区と加入区における生物調査、全加入区内での写真によるフジツボ等の加入量調査と加入区の再裸地化、遷移区(人工裸地)の作成を行った。11月には、対照区、遷移区、加入区における生物調査と加入区の初期化を行った。 得られた対照区のデータを地震前の対照区のデータを用い、地震による各種の個体群サイズの変化について効果量を求めて比較した。その結果、地震前後の個体群サイズの変化の仕方は種によって著しく異なり、激減した種もいる一方で激増した種も確認された。このような種による反応の差異は、種間の生態的特性(成体の移動能力の有無と遷移ニッチ)の違いによってある程度説明可能であることがわかった。また、先行研究のある地殻が隆起した場合のダメージと比較すると今回の地震の沈降によって岩礁潮間帯生物群集の被ったダメージは小さいことも判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた新規に行う加入区と遷移区の設定をすべて行うことができた。また対照区から得られた群集データを解析し、(1)主要種の帯状分布の地震後の変化とその要因(2)主要種の個体群サイズへの地震のインパクト、を明らかにできた。これらの結果は、2013年3月の日本生態学会大会において2件の講演として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
野外調査では24年度に開始した全調査項目を前年度と同様の内容で行う。25年度には地震後のすべての実験区のデータを統合して解析することが可能になることから、これらについて地震前後のデータを合わせて解析することで、①地震後のメタ群集の変化と回復過程(対照区のデータを利用)、②地震による局所群集の構造と動態の変化(対照区のデータを利用)、③地震による加入過程の変化(新旧加入区のデータを利用)、および④地震後の小規模撹乱からの回復過程の変化(新旧遷移区のデータを利用)を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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