東北地方太平洋沖地震は巨大な津波と沈降をもたらした。地震以前に岩礁潮間帯群集の調査を8年間行っていた震源近くの5海岸で、2011年から2014年にかけて地震前と同一の調査を行い、岩礁潮間帯群集における地震の影響と回復過程の評価を行った。その結果、個体群の回復の仕方は種によって大きく異なっていた。フジツボの一種は2011年に激増し帯状分布を拡大させた後、減少した。他の固着生物は沈降のため2011年にその分布域を下方に移した後、一部は一年以上経過後に増加し、別の種は地震後減少し続けた。移動性の種は沈降による生息位置の変化はなかったが、2012年から減少し現在も地震以前より少ない種もあった。
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