アリ共生型アブラムシは,夏季の栄養劣化した植物上でも甘露を排出し続けている。本研究は,アブラムシが体内に植物二次代謝物質(タンニン等)を分解する共生細菌を住まわせることによって,通年の甘露生産を実現し,アリの継続的な随伴を可能にさせたアリ共生型アブラムシに進化したという仮説を,分子生物学的手法を用いて検証した。カシワの縮合型タンニンは季節進行と共に増加したが,アブラムシ体内にタンニンを特異的に分解する細菌は検出されなかった。検出された微生物はブフネラの他にボルバキアと二次共生微生物だった。ブフネラ保有量はは季節を通じて大きな変化はなかったが,ボルバキアは2つのピークが現れた。
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