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2013 年度 実施状況報告書

琉球列島ジュゴン個体群保全のための基礎生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24570017
研究機関北海道大学

研究代表者

大泰司 紀之  北海道大学, 総合博物館, 資料部研究員 (50001532)

研究分担者 増田 隆一  北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80192748)
キーワードジュゴン / 海草 / 痕跡調査 / mtDNA / PCR法 / 八重山諸島 / フィリピン / バブヤン諸島
研究概要

西表島西部および北部において海草藻場調査を計3回実施した。調査方法はシュノーケリングによりジュゴンの食み跡の探索および海草群落の生育状況を調査するため作成した100mグリットの調査メッシュ上の調査地点において、コドラート法による海草の種組成および被度、環境のデータとして底質および水深を記録した。合計で約360地点において調査を行ったがジュゴンの食み跡の確認はできなかった。しかし、いずれの調査でも西表島西部において5㎝×1.5㎝程から10㎝×4㎝程の大型草食獣の糞を計9つ発見・採取した。これらの糞は、昨年度実施した骨標本の分析と同様のプライマーを用いてのmtDNA調査および5mmメッシュを用いた内容物調査を行いジュゴンの糞であるか同定を試みた。その結果、PCR法ではmtDNAの増幅は認められなかった。内容物調査では、地下茎の一部と考えられる未消化物が含まれていたがジュゴンの糞であるという確証を得るには至らなかった。このため、今後はジュゴン以外の生物の可能性を検討するため、異なるプライマーを用いた解析および他の候補として考えられるアオウミガメなどの腸内容物もしくは糞を用いた比較対照調査を行う必要がある。
また、ジュゴンの生息が現在も確認される最も近隣の分布域であり、遺伝的に比較的琉球列島個体群と近いと考えられるフィリピン個体群の生息状況の調査のため、Luzon島北部およびCalayan島にて聞き取り調査および海草藻場でのマンタ法およびシュノーケリングによる痕跡調査を行った。その結果、ジュゴンおよびその生息を示す痕跡の確認には至らなかったが、住民の目撃情報からLuzon島北部には現在もジュゴンが生息している可能性があると考えられた。また、いずれの地域においても健全な海草藻場が現存しており、今後より詳細なジュゴンの生息調査を行う必要があると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

形態学的解析および遺伝学的解析では現在サンプリングが終了し、データの解析を行っている段階にある。次年度での研究成果報告に向け準備を進めている。生態学的調査も予定をしていた国内の調査海域の大部分の調査が終了しており、次年度には未調査海域の調査およびデータの解析が完了する予定である。また、フィリピンにおける調査に関しても目撃および海草藻場の情報収集を行い次年度の調査計画が立案されている。

今後の研究の推進方策

形態学的研究では頭骨形態に関して、アジア地域とオセアニア地域での形態変異の解析が完了したことから、今後はアジア地域内の個体群間の頭骨における地理的変異について解析を進め、琉球列島個体群の形態的特徴の把握に努める。遺伝学的研究については、八重山諸島および沖縄島から得られた骨標本からmtDNAの増幅、塩基配列の決定が終了しており、今後これらのデータから琉球列島内における遺伝的流動および個体群構造について解析を行う。生態学的研究は未調査海域の調査と並行し、これまでの潜水調査結果から、ジュゴンの生息の可否を含めた海草藻場の評価を行う。加えて、フィリピン個体群の現状を明らかとするために聞き取り並びに海草藻場調査を計画している。
また、解析が進められている形態学、遺伝学および生態学的調査結果に関して今年度中に成果発表の一環として学会発表および論文化を行う。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度最後の調査として平成26年3月22日から4月24日にかけて、大泰司と中郡(帯広畜産大学5年、修士1年相当)の2人でフィリピン調査を行う予定であった。
しかし直前に大泰司が体調を崩し不参加となり、中郡のみが行って、フィリピンの協力者と実施することとなった。また、大泰司の不参加に伴い、当初予定していた航空機による調査は行わなかった。
このため、大泰司の旅費と航空調査分に相当する予算が未使用となったものである。
2ヵ年度にまたがるフィリピン調査のための費用は、本来平成25年11月に予定していた新城島(西表島に隣接の小島)での考古学的調査及びジュゴン歯牙の印材に関する調査を中止して捻出したものである。
平成26年度内に改めて分担者及び協力者2名の4名による新城島での調査、および印材に関する調査を実施することとし、当該繰越金については、それらに伴う費用に充てることとする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ゼニガタアザラシとジュゴンの個体群の推移2013

    • 著者名/発表者名
      大泰司紀之・太子(石船) 夕佳
    • 学会等名
      野生生物と社会学会
    • 発表場所
      兵庫県篠山市 四季の森生涯学習センター
    • 年月日
      20131128-20131201

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公開日: 2015-05-28  

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