研究課題/領域番号 |
24570021
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
工藤 起来 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70444180)
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キーワード | 多女王制 / 遺伝的多様性 / 巣分かれ創設 |
研究概要 |
本研究は、南米において適応放散を遂げた多女王制アシナガバチ類において、コロニー内の遺伝的多様性がワーカー間の分業制を発達・促進させ、寄生者に対する抵抗性をもつ個体が生じ得るかを検証し、多女王制社会の進化と維持の機構について生態学的な側面から検討する。 2013年12月におよそ2週間、サンパウロ州立大リベランプレト校に滞在し、サンパウロ州で一般的にみられるサンパウロポリビア(Polybia paulista)のコロニーを観察した。コロニーでは、ワーカーがタンパク性の餌や水、蜜、巣材を採集する活動に従事するが、ワーカーの労働内容と遺伝子型の間に関係があるかを検討すために、ワーカーを労働内容ごとに採集し、日本に持ち帰った。このような観察および採集については、前年度(2013年2月および3月)にも行っており、2年間で合計6コロニーについてのデータを扱うことができるようになった。研究室では、各ワーカーからDNAを抽出し、マイクロサテライトマーカーを使用して各個体の遺伝子型を決定する作業を進めている。 また、2012年7月および8月(乾期)と2013年2月および3月(雨期)に採集したワーカーの腹部を解剖し、ネジレバネや原虫に寄生されていた個体を特定した。その後、寄生されていたワーカーと寄生されていなかったワーカーの間で遺伝子型に違いがあるかをDNAマイクロサテライトマーカーによって分析を行っている。これまでのところ、寄生されていなかったワーカーと原虫に寄生されていたワーカーの間では遺伝子型が異なっていることが判っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブラジルに渡航し、予定していた観察や採集を行い、ブラジル農水省(IBAMA)から持ち出し許可を得て、サンプルを持ち帰ることができたことは大きな成果だと考えている。また、マイクロサテライトDNAマーカーを使用した分析も順調に進んでおり、本研究の目的を十分に検討できるところまで進められそうである。今後は、持ち帰った個体の分析についてのペースをさらに上げていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
野外での観察や採集を終えたので、これからはマイクロサテライトDNAマーカーによる分析を進め、結果について解析を行う必要がある。また、得られた成果について、関係する研究者と議論する。さらに、関係する学会で成果を発表し、学術雑誌に投稿する準備を行う。
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