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2014 年度 実績報告書

アシナガバチ亜科における多女王制社会の進化:生態学的視点からの解明

研究課題

研究課題/領域番号 24570021
研究機関新潟大学

研究代表者

工藤 起来  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70444180)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード多女王制 / エピポナ族 / 寄生 / 分業制 / アシナガバチ亜科
研究実績の概要

本研究は、南米において著しく適応放散を遂げた多女王制アシナガバチ類において、コロニー内の遺伝的多様性がワーカー間の分業制を発達・促進させるばかりでなく、寄生者に対する抵抗性をもつ個体が生じえるかについて検討した。

2012年7~8月(現地、乾期)と2013年2~3月(現地、雨期)にサンパウロ州立大リベランプレト校に滞在し、サンパウロポリビアのコロニーを多数採集した。サンパウロポリビアには2種類の寄生者がワーカーの腹部に寄生することが知られていた(原虫とネジレバネ)。本研究最終年度を中心に、寄生されていたワーカーと寄生されていなかったワーカーの間でDNAマイクロサテライト分析よって得られた遺伝子型が異なるかを検討したところ、原虫とネジレバネのどちらでも差があり、特に原虫に寄生されていたワーカーの遺伝子型は、寄生されていなかったワーカーと比べて大きく異なっていた。2013年2~3月と12月にサンパウロ州立大リベランプレト校に滞在したときには、さらにサンパウロポリビアの複数コロニーを観察し、各コロニーから異なる種類の労働(水、蜜、エサ、巣材)を行っていたワーカーを採集した。本研究最終年度の分析結果から、これら労働の種類の異なるワーカーの間では、遺伝子型が大きく異なることが判った。

多女王制社会では、コロニー内メンバー間の血縁度が低下するため、社会の維持が難しいと説明されることもあった。しかし、複数の繁殖女王がコロニー内にいるため、コロニー内には遺伝的に多様なワーカーが存在する。そのため、病気や寄生者に対して抵抗できる個体が存在したり、巣外での外役活動に速やかに反応できる個体が出現することが期待される。本研究から、多女王制によるコロニー内の遺伝的多様性は、コロニーにとって生態学的な利益があることを強く示唆した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 多女王制アシナガバチにおける遺伝的分業仮説の検証2014

    • 著者名/発表者名
      柳岡優里・工藤起来
    • 学会等名
      日本動物行動学会第33回大会
    • 発表場所
      長崎大学
    • 年月日
      2014-11-01 – 2014-11-03

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公開日: 2016-06-01  

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