多女王制アシナガバチ類では、ワーカーが得られる遺伝的利益は減少する反面、コロニー内では遺伝的多様性が増すため、①分業制が発達・促進し、②寄生者に対する抵抗に効果的であると期待される。ブラジルに生息する多女王制アシナガバチにおいて、これら2種類の仮説を検討したところ、寄生されていたワーカーと寄生されていなかったワーカーの間だけでなく、異なる種類の労働を行っていたワーカーの間でも遺伝子型が異なっていた。これらの結果から、多女王制社会ではコロニー内に遺伝的に多様なワーカーが存在するため、病気や寄生者に対して抵抗できる個体が存在し、巣外での外役活動に速やかに反応できる個体が出現すると考えられた。
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