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2013 年度 実施状況報告書

一夫多妻魚類における幼魚の誘発する社会変化と性表現に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24570027
研究機関広島大学

研究代表者

坂井 陽一  広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (70309946)

キーワード魚類 / 成熟パターン / 幼魚 / 社会的性決定 / 性転換
研究概要

本年度においても、幼魚の成熟時の性分化への社会状況の影響について分析検証する研究を中心に実施した。
メスとして性機能をスタートさせる性転換生活史と、オスとして生涯を終える一次雄生活史の混在させるDiandry魚であるベラ科キュウセンを材料に、幼魚の性分化パターンを探る飼育実験を実施した。同種の幼魚において、メスへと偏って性分化する社会条件についての先行仮説を再検証し、その条件が性分化に強く影響を与えていることを再確認した。また、同時に、幼魚がオスへと偏って性分化する社会条件についても探索し、先行研究において提示されていた仮説を棄却しうる新たな社会条件仮説を見いだした。
また、幼魚の性分化への社会的影響を分析する飼育実験を昨年度より継続実施していた魚類幼魚のうち雌雄異体性のスズメダイ科魚類について、成熟サイズに近く成長させることに成功したため、実験を終了し、生殖腺組織の観察のための飼育個体の固定作業を実施した。雌性先熟型の性転換を成魚がみせる魚類であるスズメダイ科フタスジリュウキュウスズメダイとミスジリュウキュウスズメダイの幼魚を対象に、同様の性分化パターンを分析する飼育実験を新規に開始させた。
なお、上記実験対象であるフタスジリュウキュウスズメダイでは、これまで野外個体群における成魚の性転換を確認した報告例がなかったため、口永良部島において性転換誘発実験を実施し、メスが性転換する能力を有することを確認することに成功した。
これらの成果については、国内開催の魚類生態学を専門とする研究者の会する研究会において発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

幼魚を長期飼育実験において、被験個体の飼育途中での死亡により、当初予定していたキンチャクダイ科アブラヤッコ属魚類とトラギス科コウライトラギスの性分化パターンを検証するためのサンプルが確保できなかった。一方、スズメダイ科魚類幼魚については長期飼育が実験に使用したほとんどの魚種で成功した。このように、幼魚の飼育上の難しさから、研究焦点となる対象魚類を絞り込む必要が生じたが、幼魚の性分化における可塑性の検証を進めうるデータは確保できている。

今後の研究の推進方策

平成26年度においては、本年度までの実績にあげた各魚類についての追加の実験を実施し、実験結果をとりまとめる予定である。
Diandryシステムの成立機構を探索しているベラ科キュウセンにおいては、幼魚がオスに性分化を偏らせる社会条件について追加実験を実施し、本年度に得られた仮説を再検証する。
雌性先熟型の性転換を行うスズメダイ科2種の幼魚については、長期飼育実験を成熟サイズに到達するまで継続実施し、生殖腺の組織学的観察により性分化パターンと同種との同居条件との関連性を分析する。その分析結果を、雌雄異体性スズメダイのパターンと比較し、スズメダイ科魚類をモデルにした、幼魚の成熟時の性決定の可塑性についての理論仮説を構築する。

次年度の研究費の使用計画

当初の研究実施計画に沿って実験を進行させ、予算を使用してきたため。
平成26年度は、飼育実験の実施と実験結果の分析のための、旅費、消耗品等に予算を使用する。また、研究成果を国内学会で発表するための旅費で支出する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] キュウセンにおける幼魚成熟時の性決定への社会的要因についての研究2014

    • 著者名/発表者名
      河合佑樹・冨山毅・坂井陽一
    • 学会等名
      第25回魚類生態研究会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      20140215-20140216
  • [学会発表] 口永良部島におけるフタスジリュウキュウスズメダイの性転換2014

    • 著者名/発表者名
      坂上嶺・冨山毅・坂井陽一
    • 学会等名
      第25回魚類生態研究会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      20140215-20140216

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公開日: 2015-05-28  

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