一夫多妻社会をもつスズメダイ科魚種を対象に、成熟時の性分化パターンおよび雌雄同体性を探索する飼育実験を実施した。口永良部島、屋久島、沖縄島のリーフで採集した幼魚を単独飼育とペア飼育の条件で9ヶ月間ー12ヶ月間成長させ、その後に各個体の性を生殖腺の組織学的観察により判定した。 雌雄異体のオヤビッチャは雌雄ほぼ均等割合で成熟したが、フタスジリュウキュウスズメダイはメスに偏って性分化した。これは後者の雌性先熟型の性転換能力と関連するものと考えられる。また、これまで雌雄異体と考えられていたルリスズメダイ属2種において、メスに偏った性分化と両性生殖腺を確認し、雌雄同体性を裏付けるデータを獲得した。
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