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2013 年度 実施状況報告書

性ホルモンに制御された厳格な繁殖サイクルとそれに対抗する繁殖戦術の進化

研究課題

研究課題/領域番号 24570029
研究機関長崎大学

研究代表者

竹垣 毅  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (50363479)

研究分担者 征矢野 清  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (80260735)
加川 尚  近畿大学, 理工学部, 講師 (80351568)
阿見彌 典子  北里大学, 水産学部, 講師 (20588503)
キーワード行動生態学 / 進化 / 繁殖戦略 / 内分泌 / 魚類
研究概要

ロウソクギンポ雄の非適応的に見える厳格な繁殖サイクルをもたらす内分泌システムの進化要因を明らかにするために、雄の求愛活性を促進するアンドロジェンが免疫機能を低下させるかを検証する長期アンドロジェン曝露水槽飼育実験を行った。雄の免疫機能の指標として、白血球数・体コンディション・活性酸素・リゾチウムを用いた。これまでに白血球数と体コンディションにはアンドロジェン曝露の効果が無いことが分かっており、アンドロジェンが免疫機能に影響しない可能性を示唆した。残りの2つの指標については現在測定中である。また、繁殖サイクルのメカニズムを解明する一環として、求愛活性を促すアンドロジェンに加えて、保護行動に関与すると考えられているプロラクチンの挙動を把握するために、その受容体の遺伝子(RNA)発現量を定量する手法の開発に着手した。
次に、雄の全卵食行動が栄養摂取のためではなく、保護卵を除去するための行動であることを示すために、脳内に産生される摂食関連ホルモン・ニューロペプチドーY(NPY)とオレキシン(ORX)の挙動を室内及び野外実験で測定した。両ホルモンともに野外では摂食中と全卵食中の個体に差があるような傾向が見られたが、水槽内の予備実験では差が見られなかった。全卵食中の雄が、卵を食べるだけでなく巣外に吐き出す行動が確認され、保護卵を除去する目的で全卵食している可能性が強く示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画当初の仮説を検証するために、あと必要な研究項目はアンドロジェンが免疫機能に与える影響を示すことであり、26年度中には結果が出ると思われる。また、新たに着手した繁殖サイクル形成へのプロラクチンの関与については、下垂体内の微量なプロラクチンを測定する手法はほぼ開発済みである。脳内摂食関連ホルモンの挙動についても、新たに加わった研究分担者の協力を得て具体的なデータが出始めている。

今後の研究の推進方策

最終年度となる今年度は次の3つの研究項目を進める。(1)アンドロジェンが免疫機能に与える影響を明らかにする。昨年度の長期飼育実験の改善点を検討してより精度の高いデータ取得を目指す。(2)繁殖サイクル形成にプロラクチンが関与しているのかを受容体の遺伝子発現量で定量する。(3)全卵食行動に与える脳内摂食関連ホルモンの効果を検証する。昨年度の野外データを適用するには昨年度問題のあった水槽実験の再検証が不可欠である。水槽実験デザインの再検討と、NPYの免疫染色に最適な抗体の探索が最優先事項である。

次年度の研究費の使用計画

研究分担者が新たに2名追加され、その2名分の追加研究費配分(30万円)のために30万円を前倒し請求したが、最終的にはその半分程度の額は未使用のまま残った。
次年度にも当初予定していなかった追加分担者2名への研究費の配分(20万円)があるため、それに使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 その他

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] シマギンポの雄は繁殖サイクルを持つのか?2013

    • 著者名/発表者名
      井手勇旗・松本 有記雄・竹垣 毅
    • 学会等名
      第32回日本動物行動学会
    • 発表場所
      広島大学生物生産学部(広島県東広島市)
    • 年月日
      20131130-20131130
  • [図書] 魚類行動生態学入門(第8章:適応進化を追究するための生理学)2013

    • 著者名/発表者名
      竹垣 毅
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      東海大学出版
  • [備考] 長崎大学 進化・行動生態学研究室HP

    • URL

      http://takegaki-lab.sakura.ne.jp/Takegaki_Lab/Home.html

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公開日: 2015-05-28  

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