雄の行動的操作を通じた雌の配偶者選択の精度の向上に有利なために雌の二次性徴形質が進化するという新規の仮説を、雌が青色の婚姻色を示すハゼ科魚類トウヨシノボリを用いて検証した。雌の婚姻色の視認性が弱まる青色光環境よりも自然状態に近い白色光環境の方が、雌は多くの雄と遭遇した。また、白色光環境では雌は大きくかつ肥満度の高い雄と選択的に産卵したが、青色光環境では雌は雄の体サイズのみに選好性を示した。多くの配偶候補者との遭遇は、雄の複数形質による雌の配偶者選択を可能にすると思われた。本研究は、雌の二次性徴形質が、配偶候補者との遭遇機会を高めることを通じて十分な配偶者選択を行うために進化したことを示唆する。
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