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2015 年度 実績報告書

可塑的な葉緑体分化の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 24570042
研究機関東京大学

研究代表者

増田 建  東京大学, 総合文化研究科, 教授 (00242305)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード光合成 / 葉緑体分化 / 転写制御 / 共発現 / 転写因子 / 植物ホルモン / 光シグナル
研究実績の概要

本研究では、可塑的な葉緑体分化の分子機構の解明を目的とした。非光合成器官・組織の色素体は、潜在的に光合成を行なう葉緑体に分化する能力を維持しているが、通常条件で葉緑体への分化は抑制されている。この可塑的な葉緑体分化制御機構を解明出来れば、葉緑体分化および光合成光化学系装置構築の分子機構を明らか出来るだけでなく、将来的にシンク器官である非光合成器官をソース器官に変換し、光合成生産効率を向上した作物の分子育種にも繋がることが期待される。
シロイヌナズナの根は炭素源をソースである地上部に依存しており、通常緑化は抑制されている。我々は、地上部から切り離された根では葉緑体分化が誘導され、光照射下で新たな光合成組織の構築が促進されることを見出した。この葉緑体分化誘導にはオーキシンとサイトカイニンが関与していることを明らかにした。通常、根では地上部から輸送されるオーキシンにより葉緑体分化が強く抑制されている。しかしこの抑制は、地上部を喪失した根で減少し、同時に傷害部におけるサイトカイニンシグナルの促進により、葉緑体分化が誘導されることを明らかにした。実際、根での葉緑体分化の誘導により、葉緑体チラコイド膜が発達すると伴に、光合成電子伝達反応が増大することを明らかにした。
さらに、この光合成光化学系の構築には、核コードの光合成関連遺伝子の協調的な転写活性化を伴うことを明らかにした。実際、光シグナルの転写因子HY5 と植物ホルモンシグナルの転写因子GLKが、これら遺伝子の協調的な転写活性化に関与していることを見出した。驚くべき事に、GLKの過剰発現により、根の維管束周辺細胞において顕著な葉緑体分化が誘導され、新鮮重辺りで葉の約10%に達するクロロフィルを蓄積できることを明らかにした。以上のように、我々の解析により、非光合成器官である根においても、葉緑体分化を誘導できることが明らかとなってきた

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Expression analysis of transcription factors involved in chloroplast differentiation.2015

    • 著者名/発表者名
      Listiawan DA, Tanoue R, Kobayashi K, Masuda T
    • 雑誌名

      Procedia Chemistry

      巻: 14 ページ: 146-151

    • DOI

      10.1016/j.proche.2015.03.021

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Monogalactosyldiacylglycerol synthesis in the dark contributes to etiolation and chloroplast differentiation of Arabidopsis2016

    • 著者名/発表者名
      Fujii S, Kobayashi K, Masuda T, Wada H
    • 学会等名
      第57回植物生理学会年会
    • 発表場所
      岩手大学(岩手県盛岡市)
    • 年月日
      2016-03-18 – 2016-03-20
  • [備考] 植物代謝システム研究室(増田建研究室)

    • URL

      http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/masuda_lab/Masuda_Laboratory/Welcome.html

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公開日: 2017-01-06  

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