生物が作る構造は基本的には動的なもので、ある意味では一過性のものである。細胞が動きながら分裂を繰り返すことで、生物体全体としての構造が作られる過程は、創発と考えることができる。本研究では、シアノバクテリアの一種が前後に規則的な運動を行いながら、寒天培地上で渦巻き構造を生ずることを超細胞構造と考え、生物構造の創発の単純なモデル系として解析した。 電子顕微鏡観察、タイムラプス観察、ゲノム解析の結果、この細胞の運動は粘液銃モデルで説明できると考えられ、前後運動の際に、細胞体が回転していることもわかった。これらの結果に基づき、細胞と寒天との相互作用に依存した渦巻き形成モデルを提案した。
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