研究課題
被子植物の受精において、移動能力を持たない精細胞は花粉管により胚珠の胚のうへと運ばれ、卵細胞・中央細胞と受精する。花粉管は雌しべの様々な組織に由来する、長距離・短距離で働くシグナルを受けて伸長方向を決定し胚のうへと到達すると考えられており、このメカニズムを花粉管ガイダンスと呼ぶ。本研究は、受精に至る過程において花粉管と雌しべ組織との間にどのようなシグナル伝達があるかを明らかにし、それに関わる分子の挙動や機能的実体を明らかにすることを目的とした。花粉管の長距離ガイダンスに関わる因子の性質を明らかにするため、胚珠抽出液を様々なカラムを用いて分画し、新奇に開発したマイクロデバイスを用いて定量的ガイダンスアッセイをおこなった。陰イオン交換カラムによる分画で高活性画分が複数得られたが、その活性は、96℃20分の熱処理でも保持されていたが、ProteinaseK処理で完全に失われた。もっとも活性の高かった画分を用いて質量分析したところ、タンパク質の断片がいくつか得られた。それらを候補として花粉管ガイダンスアッセイを行ったところ、有意に花粉管を誘引する新規のタンパク質を同定することに成功した。現在、このタンパク質をコードする遺伝子の機能欠失株の作成や、このタンパク質の抗体の作成を試みている。
2: おおむね順調に進展している
新規花粉管ガイダンス現象について、その現象を担うと考えられる因子の同定に成功した。
新規花粉管誘引タンパク質をコードする遺伝子の機能欠失株の作成や、このタンパク質の抗体の作成をする。他の植物において相同性のあるタンパク質が同様のガイダンス活性を有するか検討する。また、NMRによりLUREタンパク質の構造決定を行う。
研究の進展により当初予定になかった機器を購入する必要が生じたため。倒立型リサーチ顕微鏡 Olympus IX73 4147500円(共同購入:この科研費での分担額は2027500円)
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