研究課題
有性生殖とは、雌雄の異なる配偶体が融合して新たな個体が生じる受精様式である。被子植物では雌しべ組織からの誘引シグナルにより花粉管は胚のうへと導かれる。適切な雄と受精するために、誘引シグナルは種間で異なると考えられているが、その分子的実体は不明である。本研究では胚のうの助細胞より見いだされた誘引因子LUREペプチドの配列に種間多様性があることに着目し、どのアミノ酸が種認識の鍵となるか明らかにし、誘引シグナルを制御することにより生殖隔離の打破を目指した。また、花粉管を持たず精子が受精に関わるコケ植物ゼニゴケにおける精子誘引物質を同定し、これらの雄性配偶体誘引機構の共通性と多様性を明らかにすることを目指した。<1.種間比較による花粉管誘引物質の機能ドメインの特定>T. fournieri とその近縁種T. concolorからLUREs 相同遺伝子を単離し、その配列を種間で比較した。精製タンパク質間のドメインスワップ実験より、T. fournieriの花粉管の誘引に必要な領域をしぼりこむことができた。<2.新規ガイダンス因子の同定>新規に開発したマイクロ流体デバイス(Horade, Kanaoka et al., 2013)を用いた生化学的な解析より、トレニアより新規花粉管ガイダンス因子を同定した。この因子は長距離で花粉管を誘引するなど、LUREsとは異なるユニークな特徴を持っていた。この結果より、これら複数の因子が強調して働くことにより正確な花粉管ガイダンスが起こるというモデルを提唱することができた。<3.ゼニゴケin vitro受精系の開発>スライドグラス上で取り出した造卵器(卵細胞を内包する)に精子が誘引される様子が観察されている。そこで、ゼニゴケにおけるin vitro受精系と精子誘引アッセイ系の開発を目指した。顕微操作とライブイメージングを組み合わせて、プレパラート上でゼニゴケ精子の誘引を再現することができた。
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