(1)VAH遺伝子は、幹細胞らしさの付与に関わるWOXファミリー遺伝子の発現を負に制御する。VAHの機能解析から、幹細胞らしさの解除の分子機構に迫るべく、研究を進めている。 ①VAHタンパク質複合体の構成因子の候補を同定した。②VAHと遺伝学的に相互作用する遺伝子EVAHを同定した。③vah変異体で見られる根端の異常が、vah wox多重変異体で部分的に抑制されることを見出した。④vah変異は、 clv3変異の茎頂分裂組織肥大の表現型を昂進した。 本研究から、幹細胞らしさを負に制御する新規遺伝子VAHとEVAHを同定した。VAHとEVAHの研究を進めることにより、幹細胞らしさを負に制御する新規分子機構が明らかになると期待される。 (2)オーキシンに依存した器官形成、細胞分化、分裂組織の幹細胞維持には、オーキシンの生合成や極性輸送、受容、応答に関わる遺伝子の適切な発現が必要だが、その発現制御についてはわかっていないことが多い。 ①CUVは、パン酵母からヒト、植物に広く保存されているスプライシング因子Prp16オーソログをコードする。CUVが、頂端基部軸に沿った胚とめしべの形成、おしべの形成、花序位置の決定、維管束形成、根端分裂組織の維持、根毛形成位置の平面内極性など、オーキシンを介した発生を支えていることを明らかにした。②CUVが、オーキシン生合成や極性輸送、受容、応答に関わる遺伝子を含む遺伝子の発現を遺伝子特異的、組織特異的に促すことを明らかにした。 本研究から、CUVが、オーキシンに依存した組織や器官の形成、細胞分化、分裂組織の幹細胞維持に必要であること、オーキシンの生合成や極性輸送、受容、応答に関わる遺伝子などの発現を促していることを明らかにした。
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