研究課題/領域番号 |
24570050
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
打田 直行 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 准教授 (40467692)
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キーワード | シロイヌナズナ / リガンド / 受容体 |
研究概要 |
高等植物の発生では、体を構成する細胞間での情報のやりとりが必須だが、解明されてきた分子機構の例は限られており、新たなメカニズムの解明は重要課題である。erecta (er)変異体は野生型に比べて茎が短い。その原因遺伝子がER遺伝子であり、細胞膜結合型の受容体をコードする。その際にERに作用するリガンドとして以前にEPFL4とEPFL6を同定し、内皮で生まれるリガンドが篩部伴細胞でERにより受容されることが花序の形作りで大きな役割を持つことを明らかとしてきた。er変異体とepfl4 epfl6二重変異体は野生型と比べて茎が短いが、この結果に対するさらなる解析を目指して、茎の中のどの領域がこれらの制御の影響を最も受ける現場なのかを明らかにするために、野生型、er変異体、epfl4 epfl6二重変異体の茎の細胞の分裂活性と伸長具合を茎の先端から連続的に野生型と比較しながら観察、測定することにした。そのために、そもそも茎のどの部分が茎の伸びにとって重要な制御箇所となるのかを、茎を先端から5mmずつ区切って、その部分ごとのその後の成長を経時観察することで明らかとした。今年度、その重要制御部位の切片を作成し、細胞レベルでの変化を野生型、er変異体、epfl4 epfl6二重変異体で比較したところ、両変異体では野生型とくらべて、茎の先端により近い部分で細胞が急速な伸長を開始する一方で早期に伸長が停止すること、細胞の達する最終的な長さは大きくなること、一方で細胞の増殖は少なく、茎に含まれる細胞数は減少することがあきらかとなった。また、時空間的に任意の点でEPFL6をONにできる発現誘導植物(epfl4 epfl6二重変異体背景)を用いて、EPFL6がERを刺激すると引き起こされる事象を解析するための形質転換体の作成が達成できたので、それらを用いるための条件検も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、今年度に行うことを予定していた研究計画のうちの大部分はおおむね完了した。一部、さらさる解析を行いたい部分は残っているので、次年度にその詳細な解析を引き続き行っていく予定である。また、成果としては、2報の英語文献、2報の日本語文献を発表することも出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に計画通りに順調に推移して来ているので、今後も、特別の変更は加えずに当初の計画通りに本研究をすすめることで、今後の研究の順調な推進が可能であると考えている。 具体的には、作成が完了した形質転換体を用いて、EPFL6刺激をOFFからONにした際に起こる事象の解析を行うための条件設定のさらなる改良を、まずは行う。準備が終了次第、解析を実施する。その際に用いる形質転換体としては、前年度に作成した複数の形質転換体の中でも、熱ショックプロモーターによる誘導系とエストラジオールによる誘導系が最も使い勝手がよさそうであるので、これらを用いる。これらの植物を用いて、EPFL6を植物のどの部位で発現させた場合にepfl4 epfl6二重変異体の表現型がレスキューされるのかを、局所的に発現誘導をかけることで解析する。さらにこの結果を受けて、その部位でEPFL6の発現を誘導した際に引き起こされる遺伝子発現の変動の経時的・網羅的な解析に着手する。これにより、茎の長さが実際に変化する部位で細胞増殖・伸長の制御に関わる因子群の経時的発現変動が解析できると考えている。 また、前年度の結果から、er変異体、epfl4 epfl6二重変異体では細胞伸長だけでなく細胞増殖にも異常が生じることが判明しているが、その異常の詳細を細胞分裂の直接的な可視化により解析することも予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度に使用予定であったものの、当初の予定より多少遅れている部分が生じているので、そこに関わる費用を次年度分として使用する。具体的には、EPFL6の発現を誘導した際に引き起こされる遺伝子発現の変動の経時的・網羅的な解析に用いるために作成した形質転換体を、さらに使い勝手がよくなるようにその栽培方法や誘導操作を改良するための条件検討、である。 上記の実行の際に使用する植物の維持・栽培、遺伝子型の確認操作、誘導と解析に用いる試薬の購入、などのための費用が主に必要になる。
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