本研究ではアミノ酸の一つであるグルタミン酸が、高等植物の気孔閉鎖および病原体に対する抵抗性遺伝子の発現誘導に関与することを生理、遺伝、分子生物学的なアプローチから明らかにした。グルタミン酸による気孔閉鎖は、1)グルタミン酸受容体遺伝子GLR3.5、2)カルシウムシグナル、を介することが明らかにされた。また、病原抵抗性遺伝子(PR-1)の発現誘導に関しては、グルタミン酸による内生サリチル酸量の上昇、また、サリチル酸合成系遺伝子の発現誘導に起因することが明らかにされた。グルタミン酸は動物の神経伝達シグナルとして機能するが、今回の研究成果は植物と動物間におけるシグナルの進化的共通性を示唆している。
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