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2013 年度 実施状況報告書

アブシジン酸の組織間輸送に関わるトランスポーターの探索と解析

研究課題

研究課題/領域番号 24570063
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

黒森 崇  独立行政法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (80332295)

キーワード環境応答 / 植物ホルモン / トランスポーター
研究概要

植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)は、植物体内の維管束領域で合成され、表皮にある孔辺細胞に作用して気孔閉鎖を起こします。しかし、細胞間や組織間におけるABAの伝達機構やその輸送因子はほとんど分かっていませんでした。私たちはABCトランスポーターに分類されるAtABCG25が維管束におけるABA輸送体の一つであることを報告しました。本研究では、ABA輸送に関わる因子の探索と機能解析、さらに維管束と孔辺細胞の間でのABA輸送機構の解明を目指します。昨年度は、課題1「維管束あるいは孔辺細胞において働く輸送因子ファミリー遺伝子の探索と解析」に関して研究を進め、AtABCG25のファミリー遺伝子であるAtABCG9, AtABCG14, AtABCG21について遺伝子発現様式と細胞内局在性を解析しました。
本年度は、課題2「維管束においてABA合成酵素やABA輸送因子の発現細胞の特定」について研究を進めました。ABA合成酵素であるABA2とAAO3の2つの遺伝子に関して、プロモーター領域にレポーターとして核局在型GFPを融合することで、発現細胞の特定を試みました。植物体の様々な組織や器官における蛍光観察実験の結果、維管束組織の中の師管伴細胞で比較的強く発現していることを見出しました。さらに、ABA輸送因子AtABCG25について同様の解析を行ったところ、やはり同じ細胞種において遺伝子発現が観察されました。次に、この細胞種においてABA合成酵素NCED3を強制発現する形質転換植物体を作製したところ、気孔閉鎖が有意に促進され、植物体からの水分蒸散が抑えられる傾向が観られました。以上の結果は、維管束細胞にて誘導したABA合成が、維管束から離れた表皮にある孔辺細胞へ影響を与えたことを示しており、組織間におけるABAシグナル伝達を間接的に示唆していると考えられます。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初計画した内容に沿って研究を進め、その上に付加的な実験結果を加えて論文投稿を行いました(Plant Physiology誌に受理され、4月以降に掲載予定)。

今後の研究の推進方策

今年度行った課題2の研究内容をさらに発展させるため、ABA合成に重要な他の酵素や近年報告された新たなABA輸送因子に関しても併せて解析を進めます。

次年度の研究費の使用計画

備品購入時の機種の選定や消耗品購入時の品目の選別を行うことにより次年度使用額を得ることができました。
次年度は対象遺伝子やプロモーター領域のクローニングに必要な試薬や蛍光観察等のための形質転換や実験植物の育成に必要な消耗品を購入する予定です。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] RARGE II: An integrated phenotype database of Arabidopsis mutant traits using a controlled vocabulary.2014

    • 著者名/発表者名
      Akiyama K, Kurotani A, Iida K, Kuromori T, Shinozaki K, Sakurai T
    • 雑誌名

      Plant Cell and Physiology

      巻: 55 ページ: e4

    • DOI

      doi: 10.1093/pcp/pct165

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Inter-tissue signal transfer of abscisic acid from vascular cells to guard cells2014

    • 著者名/発表者名
      Kuromori T, Sugimoto E, Shinozaki K
    • 学会等名
      第55回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      富山大学五福キャンパス(富山県)
    • 年月日
      20140318-20140320
  • [学会発表] シロイヌナズナSnRK1とSOG1はミトコンドリア由来のATP がシグナル伝達を介して生育を調節するのに関与している2013

    • 著者名/発表者名
      濱崎英史,黒森崇,井村優子,島田浩章,松井南
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県)
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [学会発表] Mitochondrial ATP modulates Arabidopsis thaliana development through a signaling pathway that involves SnRK1 and SOG1.2013

    • 著者名/発表者名
      Hamasaki H, Kuromori T, Imura Y, Shimada H, Matsui M
    • 学会等名
      4th International Symposium on Dynamics of Mitochondria (DynaMito2013)
    • 発表場所
      沖縄残波岬ロイヤルホテル(沖縄県)
    • 年月日
      20131028-20131101
  • [産業財産権] アスコルビン酸トランスポーター2013

    • 発明者名
      宮地孝明、表弘志、森山芳則、黒森崇、篠崎一雄
    • 権利者名
      宮地孝明、表弘志、森山芳則、黒森崇、篠崎一雄
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      整理番号:OP00867
    • 出願年月日
      2013-07-18

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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