研究課題/領域番号 |
24570064
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
齊藤 知恵子 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任准教授 (10321762)
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キーワード | 液胞膜 / シロイヌナズナ / 透過電子顕微鏡 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
研究概要 |
植物の液胞は非常に大きな細胞内区画で、成熟したでは細胞全体積の9割以上を占める。液胞の機能は多様で、膨圧の発生、物質の貯蔵、低コストな空間充填等、植物の形態形成や環境応答など生活環の様々な局面で発揮される。液胞の形態は実は複雑で、二枚以上の膜が折りたたまれた球状の構造(bulb)や、中心液胞を貫くように走る原形質糸(transvacuolar strand)などがある。これらの複雑な植物の液胞膜の持つ生物学的な意義や機能を明らかにするために、形態学、遺伝学、生化学の3つのアプローチから研究を行っている. 【形態学】液体ヘリウム冷却型金属圧着装置のかわりに、高圧急速凍結を適用して子葉表皮の液胞膜が良好な固定ができるような条件を検討した。グルコースを含む液体培地で種子を振とう培養し、高圧急速凍結後の凍結置換と樹脂包埋の手順を改良することによって子葉表皮でも比較的良好な像が得られつつある。 【遺伝学】顕微鏡スクリーニングによる液胞形態変異体のうち、遺伝子が決定したものについて、液胞膜と微小管を同時多色観察できるように、蛍光マーカーラインとの掛け合わせを行った。原因遺伝子のRNAiコンストラクトを導入した形質転換体の作製が進行中である。原因遺伝子の別のアリルを取り寄せ、同様に液胞膜の異常が見られるか確かめるため、液胞膜の蛍光マーカーラインと掛け合わせを行った。 【生化学】液胞膜を植物個体から集めるための培養条件の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
原因遺伝子が決定したものについてのデータを取ることに集中したため、他の変異体候補の原因遺伝子の同定が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
原因遺伝子の同定が完了したものについての論文を完成させるために、これに関連する実験について優先的かつ集中して進めたい。液体ヘリウム冷却型金属圧着急速凍結装置や共焦点スキャナボックスCV1000が使えなくなり、代替法や代替機を見つけなくてはならない。急速凍結については代替法が確立しつつある。共焦点スキャナボックスについてはF1200を用いることを考えているが、長時間観察では褪色や組織へのダメージが大きいと懸念される。
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次年度の研究費の使用計画 |
少額だったので、研究上不要なものを無理に購入するのではなく、次年度以降に活用することにした。 電子顕微鏡データを記録装置から移行する際、使用できるメディアがCDあるいはDVDのみなので、それらの記録メディアの購入に利用したい。
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