研究課題
生殖細胞は、精子もしくは卵に分化する細胞で、唯一次世代にDNAを受け継ぐ細胞である。一方で、生殖細胞は、生殖腺の体細胞と綿密に連携して、未分化生殖腺が精巣もしくは卵巣へと発生する過程においても重要な働きをしていることが明らかとなってきている。本研究では、発生過程で生殖細胞の消失する変異体の表現型(いつからどのように生殖細胞が消失するのか)を解析すると共に、ポジショナルクローニング法による原因遺伝子の単離・同定を試みている。この変異体の生殖細胞消失機構を明らかにすることで、「生殖細胞の維持機構」の一端を解明できることを期待している。昨年度、組換え個体が得られなかったため、当該年度は遺伝的背景を替えて交配を試みたところ、多くの組換え個体を得ることができた。975個体の子孫の遺伝子型を調べた結果、原因遺伝子の責任領域を約87kbpまで絞り込むことができた。また、孵化後2週間の生殖腺において生殖細胞の消失する表現型が出ていることが明らかとなった。また、原因遺伝子近傍のDmrt1遺伝子に変異が入っており、このホモ接合の遺伝的雄(XY)個体は精巣が形成できずに卵巣を形成することから、精巣での表現型は明らかでなかったが、本年度得られた組換え個体の次世代の解析から、未分化生殖腺が精巣に分化した場合でも生殖細胞が消失することが明らかとなった。一方、XX個体の生殖腺は生殖細胞が消失しているものの、卵巣腔の形成は行われることが明らかとなった。
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