研究課題
本研究は、骨形成の2大様式である「膜性骨化」と「軟骨性骨化」に対する時計遺伝子とメラトニンによる制御機構を解明するものである。本年度は、昨年度にやり残した「膜性骨化」に対する概日時計による制御機構を明らかにするための実験を行った。これまで本研究において、まず、12時間明:12時間暗の24時間周期や恒明条件下においては、再生鱗にできる隆起線(成長線)が、1日に1本ずつ外側に形成されことを明らかにした。次いで、時計遺伝子であるper3, bmal1,clock, cry1a遺伝子の発現に明瞭な日周リズムを観察するとともに、骨芽細胞遺伝子のdlx5 とtypeⅠcollagen遺伝子の発現にも日周リズムを認めた。そこで本年度は、再生鱗の隆起線形成に関わると考えられる破骨細胞の関与に関して検討を行った。再生14日目から15日目において、破骨細胞遺伝子として、cathepsin K (Cath K), mmp9の発現リズムをリアルタイムPCR法で調べた。また、Cath Kの活性染色を行い、再生鱗のどの部位の細胞で強く発現しているかを調べた。その結果、時計遺伝子であり、かつ転写調節因子でもあるbmal1,clock と破骨細胞遺伝子のCath K, mmp9の発現に明瞭な関連性と日周リズムが認められた。また、Cath Kの活性染色では、再生鱗の最外層の2~3層の細胞層にのみ陽性像が認められた。以上のことから、再生鱗の隆起線(成長線)形成は、時計遺伝子によって制御された骨芽細胞と破骨細胞の遺伝子発現の日周変動が関与している可能性が高いこと、また、特に最外層に近い場所において、骨芽細胞と破骨細胞の活性が高いことから、骨芽細胞によって形成されたI型コラーゲン層を層状に並んだ破骨細胞が吸収(破壊)することで形成されている可能性が示された。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
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