研究課題/領域番号 |
24570073
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
飯田 弘 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70150399)
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キーワード | イムノグロブリンスーパーファミリー / CEACAM / 精上皮 / 精子形成 / 精子細胞 / セルトリ細胞 / 免疫組織化学的方法 / 分子間相互作用 |
研究概要 |
本研究は哺乳類の精上皮に発現するイムノグロブリンスーパーファミリー(IGS)に属するCeacam2 について、発現する分子構造、局在、分子複合体を明らかにすることを目的としている。Ceacam2遺伝子はスプライシングによって2種の分子が形成され、どちらも典型的なIGS 様構造をとることが確認された。蛋白質の長さによりCeacam2-S(短分子)と Ceacam2-L(長分子)とし命名し、Ceacam2-Lに対して特異的ペプチド抗体を作成した。ウェスタンブロットおよび免疫組織化学的方法により、精巣における発現細胞と発現部位を調べた結果、Ceacam2-Lはマウス精上皮の伸長精子細胞の余剰細胞質を包む形質膜に限局して存在することが判明した。この余剰細胞質は、精子形成の最終段階でセルトリ細胞に取り込まれ処理される部位であるため、Ceacam2-Lが精子細胞とセルトリ細胞の相互作用に関わる重要な分子である可能性が推測された。 精細管に発現するIGS に属する接着分子は、シスーホモダイマーを形成するとともに、トランス的にホモあるいはヘテロ分子間結合することによって、細胞間接着分子としての機能を果たす可能性が高い。本年度はセルトリ細胞に発現し、Ceacam2-Lと分子複合体を形成する分子を同定する事を目的として研究を進めた。その結果、セルトリ細胞に発現するPoliovirus receptor (PVR) がCEACAM2-Lと複合体を形成することを見いだした。抗CEACAM2-L抗体を用いた免疫沈降により、マウス精上皮からCEACAM2-L とともにPVRが共沈した。また、COS7培養細胞に発現させたPVRもCeacam2-Lと共沈した。相互作用する分子間に化学的結合を導入するクロスリンカーBS3処理をした試料を用いた免疫沈降によって、CEACAM2-LとPVR がヘテロ4量体の分子複合体を形成することを見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は哺乳類の精上皮に発現するCeacam2-Lと分子複合体を形成する分子の同定を目的としており、ほぼその目的を達している。
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今後の研究の推進方策 |
Ceacam2-Lの生理的機能解明のため、Ceacam2ノックアウトマウスの解析をDr. Sonia M, Najjar (Center for Diabetes and Endocrine Research , University of Toledo College of Medicine)の協力を得て行う。Dr. Najjarから固定した精巣および精巣上体組織をすでに供与されているので、精巣形態や精子形成におよぼすCeacam2ノックアウトの影響を形態学的に解析する。また、もう一つのヴァリアントであるCeacam2-Sを認識する抗体を作成し、精巣における分子局在解析を行う。
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