研究課題
本研究は哺乳類の精上皮に発現するイムノグロブリンスーパーファミリー(IGS)に属するCeacam2 について、発現する分子構造、局在、分子複合体を明らかにすることを目的とした。Ceacam2遺伝子はスプライシングによって2種の分子が形成され、Ceacam2-S(短分子)と Ceacam2-L(長分子)が存在する。Ceacam2-L特異的ペプチド抗体を用いたウェスタンブロットおよび免疫組織化学的方法により、Ceacam2-Lはマウス精上皮の伸長精子細胞の余剰細胞質を包む形質膜に限局して存在することが判明した。精細管に発現するIGS に属する接着分子はホモあるいはヘテロ分子間結合することによって機能を果たす可能性が高い。Ceacam2-Lと分子複合体を形成する分子として、セルトリ細胞に発現するPoliovirus receptor (PVR) がを同定した。抗CEACAM2-L抗体を用いた免疫沈降により、マウス精上皮からCEACAM2-L とともにPVRが共沈した。また、COS7培養細胞に発現させたPVRもCeacam2-Lと共沈した。分子間に化学的結合を導入するクロスリンカーBS3処理をした試料を用いた免疫沈降によって、CEACAM2-LとPVR がヘテロ4量体の分子複合体を形成することを見いだした。また、もう一つのヴァリアントであるCeacam2-Sを認識する抗体を作成し、免疫組織化学的方法によって精巣における分子局在解析を行った。Ceacam2-L と異なり、Ceacam2-Sは主に精母細胞の形質膜に発現していた。セルトリ細胞に発現するPVRとの分子複合体形成について調べるため、上述したようなCOS7培養細胞を用いて研究した結果、Ceacam2-SもPVR とヘテロ4量体の分子複合体を形成することが判明した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
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