研究課題/領域番号 |
24570074
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 友美 横浜市立大学, その他の研究科, 教授 (40295506)
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キーワード | 合成エストロゲン / 卵巣 / 環境化学物質 / インヒビン / notchシグナリング |
研究概要 |
平成25年度は、合成エストロゲン(DES)の卵巣に対する直接的影響を明らかにすることを主な目的とし、器官培養系を用いてNotchシグナリングの役割を調べた。Notchシグナルを阻害すると多卵性卵胞が誘導されることが報告されているが、DESとの関連は不明である。器官培養した卵巣にDESを添加してNotchシグナリングの活性化を調べたところ、有意な変化は見られなかった。このことから、DESはNotchシグナリングを介していない可能性が示唆されたが、引き続き実験を行い、両者の関係を調べていく予定である。そのほか、卵巣におけるアクチビンシグナルの抑制と多卵性卵胞の誘導についても、器官培養系を用いて引き続き行っている。その他の多卵性卵胞誘導に関する因子の探索も行っている。 一方、脳下垂体前葉において、性腺刺激ホルモンの産生は新生仔期DES投与により抑制傾向にあった。新生仔期にDESを投与されたメスマウスの視床下部はオス型となっていると報告されているが、脳下垂体前葉ホルモン産生の傾向はオス、メスの中間型であり、正常マウスと同様に、卵巣除去すると卵巣からの抑制が解除されることから、卵巣による制御も受けていることが明らかとなった。また脳下垂体前葉の器官培養系も確立し、DESによる性腺刺激ホルモンの産生遺伝子に対する直接的な影響も明らかにした。 さらに、新生仔期のDES投与による視床下部-脳下垂体-卵巣軸に与える影響について分子レベルで調べるために、DESを新生仔期マウスに投与し、それぞれの器官における遺伝子発現変化の網羅的解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新生仔期の性ホルモン、環境化学物質投与がマウス視床下部-脳下垂体-性腺軸に与える影響を、エストロゲン受容体アルファ、ベータを介した作用に分け、網羅的な解析を行っている。さらに、卵巣の器官培養系に加えて脳下垂体の器官培養系も確立し、候補遺伝子の役割を調べるために遺伝子導入等も試みている。それぞれの器官における直接的、間接的作用が明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、新生仔期の性ホルモン、環境化学物質投与がマウス視床下部-脳下垂体-性腺軸に与える影響を、エストロゲン受容体アルファ、ベータを介した作用に分け、網羅的な解析を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の使用量が予想より下回ったことと、より安価な製品の購入やキャンペーンの活用により次年度使用額が発生した。 増税等の影響により消耗品単価が高くなっているため、同じ量を購入しても予算は多く必要となる。引き続き消耗品の購入に充てる。
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