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2012 年度 実施状況報告書

クマノミ類の社会行動と性別決定メカニズムに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24570075
研究種目

基盤研究(C)

研究機関いわき明星大学

研究代表者

岩田 惠理  いわき明星大学, 科学技術学部, 准教授 (70382786)

研究分担者 大久保 範聡  東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (10370131)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード比較内分泌 / 性分化
研究概要

平成24年度は、カクレクマノミの性分化において、脳の性分化と生殖腺の性分化ではそれぞれ異なる機構が存在するのでは、との仮説を立て、検証を行った。
まず、未成熟カクレクマノミへコルチゾル、エストラジオールを各々投与し、脳と生殖腺のアロマターゼ遺伝子の転写活性を評価した。その結果、コルチゾルとエストラジオール投与により、生殖腺においてはアロマターゼ遺伝子の転写活性が上昇したが、脳においては上昇がみられなかった。現在確認のために追試験を実施中である。また、攻撃性はコルチゾル投与によりやや上昇したが、エストラジオール投与によって大きく上昇した。よって、成熟メス(優位個体)の高い攻撃性にはエストラジオールが関与していることが示唆された。現在、魚類で攻撃性に関与しているといわれるアルギニンバソトシンとエストラジオールとの関係についても検証を開始している。
カクレクマノミの性分化に関与するとされる候補遺伝子、11βHSD遺伝子とグルココルチコイドレセプター遺伝子について、全長配列決定を試みた。その結果、11βHSD遺伝子については5’側に残り1000bp、グルココルチコイドレセプター遺伝子については同じく5’側に残り1000bp程度を除いて、ほぼ配列を決定することができた。
すでに全長の決定がなされている2種のアロマターゼ遺伝子と、今回決定がなされた上記2つの遺伝子の部分配列を用いてプライマーを作製し、リアルタイムPCRを用いて、エストラジオール投与によりメスへの性分化を誘導した個体の脳と生殖腺の遺伝子発現量を解析した。その結果、メスへ性分化を開始した個体において、11βHSD遺伝子の発現量が有意に低下することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

予定では24年度中に性分化の時系列的変化の検証に着手する予定であったが、人手不足のため、実験開始を見送った。今年度は人手の確保が見込まれるため、開始する予定である。

今後の研究の推進方策

平成24年度の研究において、アロマターゼ遺伝子には臓器特異的な転写活性メカニズムがある可能性が示されたが、この結果については追試や別の実験系を用いた再検証が必要である。
全長が得られていない遺伝子については配列決定が必要である。
各種薬物を投与することによって得られた各遺伝子の転写活性の変化については、自然な状態、すなわち社会環境を操作することで性分化を誘導させた個体の時系列的変化に当てはめ、改めて考察を行うことが必要である。

次年度の研究費の使用計画

実験動物の購入や飼育設備、餌などの購入に充てる。また、遺伝子の配列決定や発現量解析、血中ホルモン濃度測定用の試薬の購入にも用いる。
可能であれば国内学会で2回程度の発表を考えている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Territorial behaviour reflects sexual status in groups of false clown anemonefish (Amphiprion ocellaris) under laboratory conditions2013

    • 著者名/発表者名
      Eri Iwata, Jun Manbo
    • 雑誌名

      Acta Ethologica

      巻: 16 ページ: 1-7

    • DOI

      DOI10.1007/s10211-012-0142-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The fifth neurohypophysial hormone receptor is structurally related to the V2-type receptor but functionally similar to V1-type receptors2012

    • 著者名/発表者名
      Yoko Yamaguchi, Hiroyuki Kaiya, Norifumi Konno, Eri Iwata, Mikiya Miyazato, Minoru Uchiyama, Justin D. Bell, Tes Toop, John A. Donald, Sydney Brenner, Byrappa Venkatesh, Susumu Hyodo
    • 雑誌名

      General and Comparative Endocrinology

      巻: 178 ページ: 519-528

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Social interaction influences blood cortisol values and brain aromatase genes in the protandrous false clown anemonefish Amphiprion ocellaris2012

    • 著者名/発表者名
      Eri Iwata, Kyohei Mikami, Jun Manbo, Keiko Moriya-Ito and Hideaki Sasaki
    • 雑誌名

      Zoological Science

      巻: 29 ページ: 849-855

    • 査読あり
  • [学会発表] Estrogen promotes aggression and alters arginine vasotocin receptors in the brain of false clown anemonefish Amphiprion ocellaris2013

    • 著者名/発表者名
      Eri Iwata, Norifumi Konno, Tatsuya Iimura
    • 学会等名
      International Congress of Comparative Endocrinology
    • 発表場所
      Barcelona, Spain
    • 年月日
      20130715-20130719
  • [学会発表] カクレクマノミの雌性ホルモン処理による早期性転換誘導の試み2013

    • 著者名/発表者名
      金古宏太郎、岩田惠理、今野紀文
    • 学会等名
      平成25年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      東京都品川区
    • 年月日
      20130326-20130330
  • [学会発表] カクレクマノミの攻撃行動 -社会順位か性差か-2013

    • 著者名/発表者名
      岩田惠理
    • 学会等名
      日本行動神経内分泌研究会第3回関西支部勉強会
    • 発表場所
      岡山県牛窓
    • 年月日
      20130308-20130309
  • [学会発表] カクレクマノミの縄張り防衛行動2012

    • 著者名/発表者名
      岩田惠理、満保淳
    • 学会等名
      第17回日本行動神経内分泌研究会全国集会
    • 発表場所
      京都府京都市
    • 年月日
      20120830-20120901

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公開日: 2014-07-24  

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