熱帯性の海水魚であるクマノミ類は、社会順位により性別が決定される性転換魚である。カクレクマノミをモデルとして、社会順位の形成維持と性分化のとの関係について研究を行った。ストレスホルモンであるコルチゾルは、生殖腺アロマターゼ遺伝子を介して性分化や性転換に関与することが知られているが、カクレクマノミでは同様の現象は認められなかった。また、優位性行動である威嚇行動は、男性ホルモンではなく、女性ホルモンによって誘導された。群れの優位個体が雌であるカクレクマノミでは、他の魚種とは異なる社会行動発現や性分化のメカニズムを持つものと考えられた。
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