研究課題
1:強制活性化法を用いた求愛歌生成に関わる神経細胞群の同定昨年度までに温度感受性陽イオンチャンネルdTrpA1を少数のニューロンに異所発現し強制活性化する機能的モザイク解析を行い、脳内のpC1, pC2l、胸腹部神経節内のTN1, prAと名付けられたdsx発現ニューロン群が求愛歌生成に関わる事を明らかとしてきた。今年度はpC2lの機能についてさらに解析を行った。通常の求愛歌生成時には片翅のみが使用される。しかしながら胸部神経節内に存在する求愛歌制御用ニューロンの強制活性化では、多くの場合両翅が展開される。このことは脳からの下行性シグナルが片翅展開の実現に重要である事を示唆している。興味深いことにpC2lの強制活性化では求愛歌生成時に細胞体とは反対側の羽が優先的に使用されることが分かった。一方、pC1の強制活性化ではこのような羽使用の偏りは観察されない。このことはpC2lが通常の求愛行動での片翅展開の制御に寄与する事を示唆している。羽展開の側方性には脳内の側抑制的な神経回路が機能している可能性がある。さらにGABA合成酵素であるGad1のノックダウン実験を通して、片翅展開にはGABA作動性fru発現ニューロンの一つであるmALが関与している可能性も明らかとなった。2:単離脳標本を用いた求愛歌生成神経回路の生理学的解析パッチクランプ法を用いた電気生理学的応答記録システムの構築を続け、昨年から開始した胚筋肉の電気生理学的解析を行った。その結果、Ca2+チャンネルDmca1Dが胚筋肉の活動電位発生に中心的である事を明らかとした。現在その結果を投稿中である。さらに脳内fru/dsx発現ニューロンに対してパッチクランプ法を適用し、一部ニューロンからの電気生理学的応答の記録に成功した。
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