研究課題
テトラヒメナ(Tetrarhymena pyriformis)には単量体のAK(AK1)と2ドメイン型のAK(AK2)の両方が存在しており,AK1は主に繊毛に,AK2は細胞質に局在することが分かっている.両者は繊毛内において,「アルギニンリン酸シャトル機構」に深く関わり,繊毛運動のエネルギー供給に深く関与している.また, AK1は,N末端にミリストイル化シグナル配列を持ち,そのN末端ペプチドがN-ミリストイルトランスフェラーゼによって実際にミリストイル化されることから,生体内においても修飾されている可能性が高い.より直接的にAK1のミリストイル化を証明するために,昆虫細胞由来の無細胞タンパク質合成系(島津製作所)を用いて,ミリストイル化されたAK1を直接合成した.先ず,C末にStrepタグを付加したAK1のcDNA配列を全合成した.次に,そのmRNAを大量に合成し,ミリストイルCoAを含む無細胞系に加えた.この系で合成されたAK1は,付加されたStrepタグを用いて純度よく精製することができた.さらに,SDS電気泳動を行い,合成されたAK1を切り出してMALDI-TOF-MS分析(トリプシン消化産物の質量分析)を外注した.比較のために,Tetrahymena AK1と同様にミリストイル化シグナル配列を持つ2種類のフォスファゲンキナーゼを合成し,併せて質量分析を行った.その結果,後者の2種類については,ミリストイル化されたN末端トリプシンペプチドの質量が0.1 Da以下の誤差で検出された.しかしながら,Tetrahymena AK1については,上記に相当する質量は観測されなかった. Tetrahymena AK1のペプチド質量の回収率が低かったことを考え合わせると,これはターゲットのペプチドがイオン化されなかった可能性を示唆する.今後条件を変えた分析が必要である.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)
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