昆虫の能動的な触角(アンテナ)からの触覚情報および体移動に関する情報に基づく空間認知機能について、主にゴキブリを用いた生理実験により調べた。アンテナ末梢感覚系が機能的に保存された単離中枢標本に対してアンテナ運動系を活性化するムスカリン類似物質を投与することで、仮想的な能動感覚の状態をつくりだした。アンテナへの接触刺激に対するアンテナ運動神経の応答を調べた結果、静止時の応答とは質的に異なることを見出した。また胸部神経節を含む単離中枢標本において、ムスカリン類似物質の投与が歩行運動系を活性化すること、この歩行出力に腹部神経節から胸部神経節への上行性入力が重要であることを明らかにした。
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