Scaptomyza属のショウジョウバエは約6割の種がハワイ固有で、残りが大陸に分布する。これらがハワイ起源でその一部が大陸に分散したのか、逆に大陸起源で一部がハワイで適応放散したのかが疑問である。本研究は、この問題を検証することを目的に、Scaptomyza属の5亜属11種について、11遺伝子の塩基配列を新たに決定した。そして、これに既知79種の配列情報を加えて分子系統樹を構築し、祖先系統の分布域と分岐年代を推定した。その結果、本属はハワイ起源ではなく、大陸種の一部がハワイに移住したという大陸起源説が支持された。さらに、大陸からハワイへの移住は1回のみならず、2回独立に生じたと推定された。
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