本研究はプレパラート標本がタイプ標本となっているササラダニ亜目という分類群について,分類学的措置を考えるモデルとして管理手法の検討も合わせて進めてきた.タイプ標本を整理し破損しているものなどを整理し,トポタイプなどでこれを補い,かつDNA抽出が将来的に可能な状態にした.このため,日本全国から土壌試料を再採集した.また,分類学的にも日本記録種を再検討しリビジョンを作成するとともに検索表として出版した. 1.国立科学博物館等に保管されているタイプ標本,および登録されている標本の精査を行い,約1650点の所蔵ササラダニ標本についてデータベース入力をほぼ終了した. 2.黒化したガムクロラール標本について,粉砕した標本でなければ,リマウントすることで当初の標本を救い出す事が可能である事が分かった.また,該当標本のシーリングを手作業で行った. 3.タイプ産地から土壌とリターを採集し,ツルグレン装置にて,ササラダニを抽出する作業をほぼ終えた.ソーティングおよび簡易同定をし,トポタイプをエタノールに液体浸漬の形で保管を始める事が出来た.標本は国外のものも含めて,DNAデータの蓄積を開始する事が出来た. 4.日本産,ササラダニ約750種について,土壌性を中心にリビジョンを出版した.平易な図による検索表を付けて,誰にでも種を同定できる様にした. 5.トポタイプ以外にも,同時に得られた標本に基づいて,新種記載を開始する事が出来た.
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