東アジア温帯域に分布するアシナガバチのうち、Polistes亜属は旧北区起源で、祖先種が越冬を必要とする温帯環境に適応していたといえる。Gyrostoma亜属の起源地はアジア熱帯域と推定され、キアシナガバチ等が北方へ分散する過程で温帯環境に適応してきたといえる。Polistella亜属には、ヤマトアシナガバチを含む種群とコアシナガバチを含む種群が認められ、前者はアジア熱帯域起源で、北方への分散過程で温帯環境に適応し、後者は「冬」があるインドシナ半島北部起源で、祖先種において温帯環境に適応していたといえる。ホソアシナガバチもインドシナ半島北部起源で、祖先種が温帯環境に適応していたと考えられる。
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